【高野進の目】桐生、“負けパターン”回避 中盤以降も膝下浮かない走り

[ 2020年10月3日 05:30 ]

陸上・日本選手権第2日 ( 2020年10月2日    新潟市・デンカビッグスワンスタジアム )

男子100メートル決勝、ゴールに飛び込む(左から)飯塚翔太、桐生祥秀、竹田一平、多田修平、小池祐貴、ケンブリッジ飛鳥(撮影・小海途 良幹)
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 記録は10秒2台だが、桐生は勝負に徹して後半も落ち着いて走れていた。隣の多田が飛び出すのは想定内だったと思うが、これまでの負けパターンでは中盤以降の競り合いで肩が上がって上方向に浮いてしまうところを、膝下も最後まで柔らかく動いて浮かない走りができていた。

 特に日本選手権では同じメンバーによく負けていたので、最後の勝負弱さを克服することに集中して、いろいろなレース展開のイメージを練ったのでは。今回は予選、準決勝から自分のレースができていたことも大きい。

 ケンブリッジは後半は伸びてきたが、得意とする中盤の走りに硬さが出てしまった。ただ、昨季は苦しみながらも再起を懸けて今年に合わせ、力があることを示した。今回上位に入ったメンバーたちで毎回勝ち負けが変わるような高いレベルで競っていけば、9秒台4人でリレーを組むことも不可能ではない。五輪が1年ずれたことを良い方向に持っていけるように、この冬は準備をしてもらいたい。
(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授) 

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2020年10月3日のニュース