追悼連載~「コービー激動の41年」その47 新たなトラブルメーカー出現!
2季ぶりの王座奪還がかかっていた2004年プレーオフ1回戦の相手は、226センチのセンター、姚明(中国)を擁していたロケッツ。ジャクソンはシリーズが始まる前から頭を抱えていた。問題はチームメート同士の内紛だけではなかったのだ。このシーズンのレイカーズには故障者が多かったし、なによりブルズ時代を含めて“王朝”を支えてきた鉄壁の戦術「トライアングル・オフェンス」にジャクソンは確信が持てなかった。
「相手に読まれているはずだ」。ロケッツの監督はニックス時代にファイナルを経験している当時42歳のジェフ・バンガンディ。ディフェンスを重視するスタイルで高校のコーチから世界のトップリーグまではい上がってきた指導者でもある。
ジャクソンは裏の裏をかこうとした。それで思いついたのがトライアングルのパターンについてのコール(指示)をベンチではなくコート上にいる選手にやらせること。「トライアングルに関するシグナルは1試合で5回から10回ほどベンチから出すのだが、それでは相手に考える余裕を与えてしまう」というのがジャクソンの考えだった。
では誰にその役目を負わせるのか?ナンバープレーと呼ばれるプレーコールの発信元はほとんどがポイントガードだ。だがそのポジションに35歳のゲイリー・ペイトンがいたことが指揮官を悩ませた。「ペイトンはコート上での集中力に問題があった。いつも仲間や審判に話しかけてしまうし、とにかくしゃべりすぎる。シアトル(スーパーソニックス)時代にジョージ・カール(当時の監督)がどれくらい耐えていたのかはわからないが、私の限界は超えていた」。
そこでジャクソンはペイトンのキャリアやプライドを無視。相手のディフェンスと味方の立ち位置から動きを変えていくモーション・オフェンスのプレーコールをなんとブライアントに一任した。あれほど関係がギクシャクしていた間柄だったが、すでに来季の続投はないと通告された指揮官にとってブライアントと“心中”する方がある意味、精神的にはすっきりして楽だった。
かくして運命のプレーオフが始まる。ジャクソン自らが「もうこれで最後」と信じて突入したポストシーズン。道のりはやはり険しかった。そう、指揮官が考えていた以上に…。
4月17日のロケッツとの初戦は地元ロサンゼルスでの一戦。すぐにジャクソン監督にとって想定外の出来事が起こる。こともあろうに開始6分でブライアントが2反則目を犯してしまったのだ。まさかのファウルトラブル。ベンチに下げるしかなく、前半で6点をリードしたとは言え初戦のシナリオは崩壊して、やっかいな試合になってしまった。残り1分で70―71。負けていたかもしれない試合だった。
だがわずかに運があった。ブライアントがショットクロック直前に放ったシュートはリムに跳ね返ったものの、その目の前にオニールがいて即座にダンク。フィールドゴールの成功率は32・9%ながら、ロケッツの22回にもおよんだターンオーバーにも助けられて72―71というロースコアで初戦をものにした。
第2戦も98―84で勝ったものの、決して楽な試合ではなかった。しかも試合が終わると、第4Qに出番がなかったペイトンがごね始めた。ジャクソンとしてはペイトンに腰痛という持病があり、一方で控えだったデレク・フィッシャーの調子が良かったのでベテランを休ませたつもりだったが、プライドが高く口がよく動くペイトンは怒鳴り声を上げた。
どんな言葉だったかはわからない。ペイトンが叫んだ場所は選手用のロッカールームではなくトレーナー室。だがジャクソンはこの罵声を聞きつけ、通路に出て“犯人”を探した。
それがペイトンだった。出番を奪われたと思っていたペイトンはかなり感情的になっていおり、すぐに代理人に電話して「オレは無視されている」と不満を爆発。プレーオフという大切な局面なのにもかかわらず、舞台裏は大荒れだった。(敬称略・続く)
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には一昨年まで8年連続で出場。フルマラソンの自己ベストは2013年東京マラソンの4時間16分。昨年の北九州マラソンは4時間47分で完走。
2020年4月3日のニュース
-
安藤美姫 7歳の誕生日を迎えた愛娘に感謝「母としてもスケーターとしても今まで以上に自信が」
[ 2020年4月3日 22:13 ] フィギュアスケート
-
国内ラグビー界から初の新型コロナ感染者 命に別条なし
[ 2020年4月3日 19:58 ] ラグビー
-
桜井心那“シブコばり”反攻で初代高校女王 九州女子ジュニアゴルフ
[ 2020年4月3日 19:25 ] ゴルフ
-
渋野日向子 岡山市の小学1年生に交通安全バッジ2020個配布「交通安全に気をつけて」とメッセージ
[ 2020年4月3日 17:12 ] ゴルフ
-
大相撲夏場所、名古屋場所が2週間延期 それぞれ5月24日、7月19日初日に
[ 2020年4月3日 16:15 ] 相撲
-
シニアゴルフツアー開幕戦と第2戦延期 いったんは開催方針も…感染拡大受け
[ 2020年4月3日 15:52 ] ゴルフ
-
男子ゴルフ 5月のダイヤモンド・カップ中止 開幕戦から3大会連続
[ 2020年4月3日 15:17 ] ゴルフ
-
6月の陸上日本選手権が延期、9月下旬~10月上旬へ
[ 2020年4月3日 15:12 ] 陸上
-
藤田寛之の“急がば回れ!”上達講座【第1回 1Wショットの考え方】
[ 2020年4月3日 12:00 ] ゴルフ
-
マスターズ11月開催を検討 ゴルフ、米メディア報道
[ 2020年4月3日 10:37 ] ゴルフ
-
競泳・松田丈志氏「スッキリ」で第2子男児誕生を生報告「タフな男にする」
[ 2020年4月3日 10:18 ] 競泳
-
追悼連載~「コービー激動の41年」その47 新たなトラブルメーカー出現!
[ 2020年4月3日 09:00 ] バスケット
-
浅田真央さん 姉・舞と“ノースリーブ2ショット”に「スタイル抜群」「さすがのスタイルとポーズ」
[ 2020年4月3日 07:32 ] フィギュアスケート
-
来夏五輪マラソン&競歩、札幌開催のまま IOC計画変えない考え表明
[ 2020年4月3日 05:30 ] マラソン
-
五輪聖火 30日まで出発地点の福島「Jヴィレッジ」で一般公開
[ 2020年4月3日 05:30 ] 五輪
-
Bリーグ初コロナ感染 大阪の選手入院、感染ルートは先月24日食事会か
[ 2020年4月3日 05:30 ] バスケット
-
ラグビー日本選手権、史上初の中止 W杯余熱期待の年も…シーズン終了
[ 2020年4月3日 05:30 ] ラグビー
-
ラグビーTL、全選手薬物検査陰性 今後も定期的に抜け打ち検査の予定
[ 2020年4月3日 05:30 ] ラグビー
-
摂南大 瀬川新監督、本格的“始動”ハンドリング技術重視NZ流を注入
[ 2020年4月3日 05:30 ] ラグビー
-
男子ゴルフ、全英OP中止へ 第2次世界大戦中の40~45年以来
[ 2020年4月3日 05:30 ] ゴルフ
-
カヌー・ハネタク“お風呂”で自主トレ 狭い浴槽で…ファン「涙ぐましい」
[ 2020年4月3日 05:30 ] カヌー/カヤック
-
バドミントン・ソノカム 練習再開に「気持ち切り替えて臨めている」
[ 2020年4月3日 05:30 ] バドミントン
-
五輪・体操、新体操、トランポリン 各国・地域の出場枠維持
[ 2020年4月3日 05:30 ] 体操
-
リオ体操女子4冠女王・バイルス 五輪延期に「ただ座って泣いていた」
[ 2020年4月3日 05:30 ] 体操
-
朝乃山、大関でも「変わらず」タクシー通勤 5月10日初日大相撲夏場所
[ 2020年4月3日 05:30 ] 相撲
-
カド番・貴景勝、基本運動で汗 新大関・朝乃山誕生に「自分は自分でいい相撲を見せられるように」
[ 2020年4月3日 05:30 ] 相撲
-
力士会会長・鶴竜 コロナ対策に改めて警戒「個人がしっかり予防して」
[ 2020年4月3日 05:30 ] 相撲
-
誰でも夢のドローヒッターになれる! “こだわり凝縮”シャフトで最高の飛びを実現
[ 2020年4月3日 05:30 ] ゴルフ
-
思い描いたコントロールショットが可能に! “頼れる相棒”その名はマッスルバックアイアン
[ 2020年4月3日 05:30 ] ゴルフ