聖火引き継ぎ式 入国制限で日本代表団参加見送り 急きょ大役の井本さん「ホッとした」

[ 2020年3月20日 05:30 ]

五輪の聖火引き継ぎ式で、ギリシャ側から火のついたトーチを受け取る元五輪競泳代表の井本直歩子さん(代表撮影・共同)
Photo By 共同

 東京五輪の聖火の引き継ぎ式が19日、ギリシャ・アテネのパナシナイコ競技場で行われた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で異例の無観客で実施され、1896年第1回近代五輪の会場はガラガラ。入国制限で日本からの代表団参加も見送られ、当初1時間25分の予定だった式典は約30分で終了した。

 出席を断念した大会組織委員会の森喜朗会長と、聖火ランナーを務める予定だった元柔道の野村忠宏氏、元レスリングの吉田沙保里さんはビデオでメッセージを発信。森会長は「7月24日、東京の新しい国立競技場に必ずこの聖火がともされることをお誓い申し上げます」と予定どおりの開催を強調した。ギリシャ国内のリレーが中止となり保管されていた聖火のトーチは、同国オリンピック委員会のカプラロス会長から、競泳の96年アトランタ五輪代表で国連児童基金(ユニセフ)教育専門官として難民の教育支援に携わる井本直歩子さんに手渡された。

 ギリシャ在住の井本さんは前日18日に急きょ“日本代表”に抜てき。「終えてホッとしている。(新型コロナウイルスの)今の問題が一日も早く解決するようにと、希望の気持ちを聖火に託した」と話した。ランタンに移された聖火は組織委の職員が空港へ運び、特別輸送機で宮城県の航空自衛隊松島基地へ出発。20日、聖火が日本へやってくる。

 《森会長ビデオメッセージで言い間違え》〇…森会長がビデオメッセージの中で「宮城県」を「宮崎県」と言い間違えるミスをした。「日本では、本日この式典に参加するはずでありましたアテネオリンピックの金メダリスト、野村忠宏、吉田沙保里両名が、宮崎県松島基地で聖火を頂くことになっており…」と話したもの。ビデオは18日に収録しており、撮り直しができなかったが、ビデオに映った英訳では「Miyagi」と正しくなっていた。

 《20日聖火到着式後、東北3県で展示へ》〇…20日の聖火到着式では、引き継ぎ式出席を断念した野村氏と吉田さんが輸送機のタラップへ上がり、到着した聖火のランタンをいち早く受け取る。式典は無観客で行われ、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が上空に5色のスモークで五輪マークを描く。聖火はその後、東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島の3県で「復興の火」として展示。26日に福島・Jヴィレッジから全47都道府県を巡る聖火リレーがスタートする。

 ▽東京五輪の聖火リレー 26日に福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」を出発し、移動日を含めて121日間かけ、47都道府県、859市区町村を巡る。ルートには世界遺産や名所旧跡が組み込まれ、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨で甚大な被害を受けたエリアも駆け抜ける。ランナーは約1万人。各地にゆかりのある多くの著名人も登場する。最初のランナーは2011年のサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で優勝した日本代表「なでしこジャパン」のメンバー。水泳や船、鉄道、スキー、馬でも火を運ぶなど趣向も凝らす。

続きを表示

この記事のフォト

2020年3月20日のニュース