追悼連載~「コービー激動の41年」その26 ジャクソン新監督の就任
Photo By AP=共同
【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】1999年の春。レイカーズはブルズで6回のファイナル制覇を成し遂げながら、すでに退団していたフィル・ジャクソン(当時53歳)を新監督の最終候補に絞った。
ではなぜジャクソンはブルズを去っていたのだろう?ジョーダンの2度目の引退はその理由ではない。実は3年間に及んだジェリー・クラウスGMとの確執が招いた退団だった。2人はジャクソンがノースダコタ大に在籍していた時代から旧知の仲であり、ジャクソンにとってクラウスは自分をCBA(別組織の下部リーグ)からNBAに引き抜いてくれた恩人でもある。しかしクラウスにはファイナルで優勝した功績をすべてジャクソンに奪い獲られたような嫉妬に近いゆがんだ感情があり、やがて2人は対立を繰り返した。舞台裏の模様はローランド・レイゼンビー著「マインドゲームズ(2001年刊)」によく描かれている。
オフになるとブルズは次のシーズンに向けてスタッフと選手の面談を行っていたのだが、クラウスは約束の時間になってもあれやこれや理由をつけてやってこない。しびれをきらしたジャクソンは「ジェリー、とっとと来るんだ。でなければ面談をキャンセルしろ」とクラウスのオフィスに怒鳴りこんだことがある。
1997年7月23日、ジャクソンは1年600万ドルで契約を交わしたが、このあとクラウスは「たとえ今季が82勝0敗であってもジャクソンはこれが最後」と記者の前で毒づいた。しかも同年9月、クラウスは娘の結婚式にジャクソンを招待せず、次期監督か?と噂されていたアイオワ州立大監督のティム・フロイドを招待。さらにシカゴ郊外にある練習場でもひともんちゃくを起こした。
クラウスはジャクソンに自分のオフィスに来るように秘書を差し向けたのだが、ジャクソンは「そっちがここに来い」と無視。秘書は狼狽するだけだった。困り果てたその秘書は「彼は自分がまだボスだ、と言っていますよ」と震えながら伝え、とうとうジャクソンはクラウスのオフィスに足を運んだのだが「もっと友人らしくふるまえ」と声を荒げて周囲を驚かせたという。1998年6月に2度目のスリーピート(3連覇)を達成したもののジャクソンにブルズ残留の意志はなく、クラウスにジャクソン再契約の意志もなかった。かくしてNBAの人材マーケットに輝かしい経歴を誇る指揮官が1人出回っていたのである。
充電中のジャクソンは「東地区のチームのほうが可能性があると思った」と当時を振り返っている。新天地の候補はペイサーズかヒート。西地区では若手の将来性を挙げてジャズかトレイルブレイザーズの動向を注視していた。はて、なかなかレイカーズの名前が出てこない。その理由は、レイカーズのジェリー・ウエスト副社長に自分が嫌われているのではないかという先入観があったからなのかもしれない。
なにしろ次期監督問題でジャクソンについて感想を求められたウエストは「あのくそったれのジャクソンか?」と答えている。実は現役時代、レイカーズの花形スターだったウエストは試合中にニックスの控えフォワードだったジャクソンにひじ打ちで痛い目に遭っていた。ひじ打ちは手の長いジャクソンの必殺技?でチームメートでさえ練習中には近づかなかったことでも有名。それをくらったウエストにとっては苦い思い出だった。
ただそんな汚い言葉を使いながらもウエストはジャクソンの採用に踏み切らざるをえなくなる。ここでもシャキール・オニールが「ジャクソンを監督にしないならオレはここを去る」と、わがままな態度をとったからだ。当時の戦力からオニールを差し引くと、たとえコービー・ブライアントがいても十分ではなかった。かくして1999年6月、レイカーズにジャクソン新監督が誕生。ブルズ時代の優勝メンバーで現在はウォリアーズを率いているスティーブ・カーが「彼はいつも独裁者になることなく権威を維持しているし、キスすることなく友情を保っている」と表現したリーダーがブライアントの前に現れたのである。(敬称略・続く)
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には一昨年まで8年連続で出場。フルマラソンの自己ベストは2013年東京マラソンの4時間16分。昨年の北九州マラソンは4時間47分で完走。
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