宇田 張本倒し初優勝!世界ランク54位が五輪代表に下克上「攻め続けることだけ意識した」

[ 2020年1月20日 05:30 ]

卓球 全日本選手権最終日 男子シングルス決勝   宇田4―3張本 ( 2020年1月19日    大阪市・丸善インテックアリーナ大阪 )

張本(右)を下して初優勝を飾り、ガッツポーズの宇田(撮影・北條 貴史)
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 男子シングルス決勝は世界ランク54位の宇田幸矢(18=エリートアカデミー)が、東京五輪代表で同5位の張本智和(16=木下グループ)をフルゲームの末に下し、初優勝した。18年のジュニア決勝でストレート負けしたエリートアカデミーの後輩に雪辱し、シニアでは初となる世界選手権団体戦代表入りも決めた。

 優勝の瞬間、宇田は仰向けに倒れ込んで両拳を突き上げた。エリートアカデミーでは同部屋で、ダブルスのパートナーとしてともに汗を流した後輩。気付けば「少し上の存在になっていた」という相手から、日本一の座を奪った。

 「苦しい場面もあって駄目かなと思ったけど守っているだけじゃ勝てないので攻め続けることだけを意識した。この優勝は大きなもの。勝つことができて自信になりました」

 ゲームカウント3―1で王手をかけてからが長かった。驚異的な粘りで追いつかれ、最終ゲームは4点をリードされた。これまではプレッシャーがかかる場面で「空回りすることが多かった」というが、ベンチに入ったエリートアカデミーのコーチでもある父・直充さん(49)と掲げた「美誠ちゃんのように卓球を楽しもう」というテーマを遂行。最後はこの試合で何度も得点につなげたハーフロングサーブから、勝負を決めた。

 水谷、吉村真晴、丹羽に続いて高校生で全日本を制した次世代のエース候補は、この1年で大きく飛躍した。ワールドツアーで感じた課題を持ち帰り、自ら練習メニューを提案するようになった。動画研究も怠らず、4歳から指導する直充さんは「自分の立ち位置や技術に何が足りないか見えてきて、自分で考えられるようになったことが大きい」と目を細めた。

 東京五輪イヤーで代表を下した18歳は、24年のパリ五輪を視野に入れる。「これから世界ランクを上げてもっと活躍したい」と意気込むとともに、後輩との再戦へ「今回ギリギリで勝つことができたけど、必ず上で戦う相手なので次も勝ちたい」とニヤリ。いつかはエースの座まで奪い取る。

 【宇田幸矢アラカルト】
 ★生まれ 2001年(平13)8月6日生まれ、東京都調布市出身の18歳。
 ★サイズと血液型 1メートル71、65キロ。
 ★競技開始 父と専大4年の姉の影響で、4歳から始める。
 ★実績 18年世界ジュニア選手権シングルス銀メダル。ポルトガル・オープンのダブルスで準優勝、クロアチア・オープンのダブルスで優勝。ともにパートナーは今大会で4強入りした戸上だった。
 ★趣味 ユーチューブでの動画視聴。好きなユーチューバーはスカイピース。

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