高橋、惜別コールに「幸せ者」 12位締めも「スッキリ。僕らしい終わり方」

[ 2019年12月23日 05:30 ]

フィギュアスケート全日本選手権最終日 ( 2019年12月22日    東京・国立代々木競技場 )

男子フリー、演技をする高橋(撮影・小海途 良幹)
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 惜別の「大ちゃんコール」が自然と湧き上がった。「情けないなあ」と落ち込んでキスアンドクライに戻った高橋の心を癒やした。

 「あんな演技でも温かい拍手を頂いてシングルの引退なんだと実感が湧いた。ウルッとしてしまった。こういう場に立てて幸せ者だなと思う」

 08年の右膝じん帯断裂の引き金になったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は2本とも失敗した。「技術的についていけない自分を分かっていた」と認めつつ、5度の優勝者の意地を見せる気でいた。しかし、SP14位からの巻き返しはならず。合計204・31点にとどまった。

 「いい意味でスッキリした全日本は今回が初めてかもしれない。その全日本が一番良くなかったけど、それも僕らしい終わり方」

 涙が乾いた後の大きな瞳で自ら終わりを告げた。不思議な巡り合わせだ。国立代々木競技場は、05年に大会初優勝をした思い出の会場。当時は「フィギュアと言えば女子」の時代だった。「女子ばかり取り上げられ、くそーと思った」という反骨心から、10年バンクーバー五輪で日本男子初のメダルとなる銅を獲得するなどの活躍で、今につながる男子人気をつくり上げた。演技後には約20年間指導を受けた長光歌子コーチ(68)に花束を渡し「心残りはない。ジャンプがきつくてもう無理」と話した。

 昨年、5季ぶりに復帰した現役第2章は一区切りとなるが、スケート靴を脱ぐわけではない。第3章はアイスダンス。平昌五輪代表の村元哉中と組み、22年北京五輪を目指す。

 「来年、ここに戻ってこないとヤバイですよね」

 10代、20代前半の活躍が目立つ競技において、33歳での現役、さらに未経験種目への転向は異例の挑戦といえる。再び、フィギュア界の常識を変える。 

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