羽生結弦V 4回転半の先に北京五輪「そのままやってたら出ます」

[ 2019年9月16日 05:30 ]

フィギュアスケート オータム・クラシック最終日 ( 2019年9月14日    カナダ・オークビル )

優勝し国旗を手に声援に応える羽生(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(24=ANA)は180・67点でトップとなり、合計279・05点で今季初戦を優勝で飾った。ジャンプにミスもあり、収穫と課題が浮き彫りになった。演技終了後は合同取材に応じ、超大技4回転半(クワッドアクセル)成功を目指す先に、22年北京五輪出場を視野に入れていることを初めて明かした。次戦は10月25日開幕のGPシリーズ第2戦スケートカナダ(ケロウナ)となる。

 大会4度目の優勝となった羽生が日の丸の大旗を振り、オークビルのリンクを旋回する。カナダを拠点とする24歳がシーズンインを実感する瞬間だ。「ノーミス以外は敗北みたいな感覚が常につきまとった状態で試合をやっている」。演技後に険しい表情を見せた完璧主義者も、このときばかりは笑顔だった。

 フリーは序盤のループ、SPで転倒したサルコーの4回転を耐えて着氷。後半3つのジャンプで回転不足のジャッジとなり、4回転の成功はゼロだった。完成形を目指し、昨季から引き継いだ難関プログラム「Origin」。今後の収穫と課題を手にし、濃い紫色の新衣装も初披露した。

 スケートは奥深いからこそ挑戦する価値がある。逆襲のシーズン。羽生には大舞台への思いも生まれていた。出場すれば3連覇が懸かる2年5カ月後の22年北京五輪。その質問に及ぶと「そのままやってたら出ます」と視野に入れていることに初言及し、「競技生活の延長線上にある」とも言った。「常に強い自分でありつつ、その先にそれ(北京五輪)があったら、みんなうれしいかなと思います」。未来の青写真をうっすら描き始めた。

 これまで羽生は「次の五輪については考えられない」と語っていた。だが、昨季は右足首の負傷もあり、3月の世界選手権では準優勝に終わった。新技成功、そして勝利への欲求に突き動かされた。今季はフリーで4回転ルッツを組み込み「4回転5本構成」という超難関プログラムを目指す。そして、まだ世界で誰も決めたことがない離れ業クワッドアクセルの完成も進める。「今は4回転半をやるために生きてると思う」。明確な目標が、アスリートとしての闘志をかき立てた。

 10月のGPシリーズから本格的なシーズンが始まる。「別に全然引退しないですからね、まだ」。そう力強く宣言した羽生は、最後に言った。「本当にきれいなの跳んでやるからな。見とけ、世界!」――。クワッドアクセルの軌道の先に、北京への道が広がっている。

続きを表示

この記事のフォト

2019年9月16日のニュース