田臥 発見があったはず 日本のバスケを成長させるきっかけに

[ 2019年9月6日 08:37 ]

バスケットボールW杯1次リーグE組   日本45―98米国 ( 2019年9月5日    中国・上海 )

八村(AP)
Photo By AP

 【田臥勇太観戦記】言葉で言うのは簡単だが、NBA選手は、やっぱり全然違う。デカさや強さは欧州勢の方があるかもしれないが、米国にはそれに加えてスピードがある。チェコやトルコとは違う種類の強さを肌で感じたはずなので、今後に生かしてほしい。日本が順位決定リーグで、どう戦うかも見どころ。サイズを強調するのか、機動力なのか。1次リーグでプレータイムの少ない選手を使ってぶつかる方法もある。

 僕はNBA挑戦を優先して自国開催の06年W杯の出場を辞退した過去がある。当時はサマーリーグにまっしぐらで、W杯に出る余裕がなかった。今は日本協会とチームが密に連携をとり、ウィンウィンの関係が築けている。今大会前にウィザーズGMが八村視察のために来日したのも、日本協会がさまざまな経験を積んできた成果。06年が今と同じ状況なら、僕も間違いなくW杯に出ていた。当時はそういう知識もなく、周囲の考え方も遅れていただけに、日本のバスケ界全体が前進していると感じる。

 塁のおかげもあり、日本は世界から意識されるようになった。どこで誰が見ているか分からないし、チャンスがある選手はどんどん海外に出るべき。NBAだけでなく、欧州や南米でもいい。サッカーでは海外挑戦した多くの選手の存在があり、今の久保君が生まれた。バスケもそうなればうれしい。

 強豪ぞろいの1次リーグで、個人としてもチームとしても、見ている方々にも、何か発見があったはず。バスケに関わる全ての人が今大会で感じたことを大切にして、日本のバスケを成長させるきっかけにしてほしい。16年6月のリオ五輪世界最終予選でも感じたが、代表のユニホームには重みがある。それだけ特別な場所。ブラジルではサンズ時代の同僚であるバルボサらベテランが頑張っている。僕も選手である以上は変わらずにそこを目指したい。(宇都宮ブレックス選手)

 ◆田臥 勇太(たぶせ・ゆうた)1980年(昭55)10月5日生まれ、横浜市出身の38歳。能代工時代に総体、国体、選抜の3冠を史上初めて3年連続で獲得。卒業後は米ブリガムヤング大ハワイ校に留学。02~03年にはスーパーリーグのトヨタ自動車でプレーして新人王。03年に渡米し、04年にNBAサンズと契約して4試合に出場するなど日本人初のNBAプレーヤーとなった。宇都宮ブレックス所属。1メートル73、76キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2019年9月6日のニュース