渋野3位、涙のV逸 悪夢の18番…1差及ばず「最後の最後で台無し」

[ 2019年8月19日 05:30 ]

女子ゴルフツアー NEC軽井沢72最終日 ( 2019年8月18日    長野県 軽井沢72G北C=6705ヤード、パー72 )

18番、3打目のバーディーパットを外し、4打目のパーパットも外し首位陥落となった渋野はパターを握りしめて悔しがる(撮影・西川 祐介)
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 2位から出たAIG全英女子オープン覇者の渋野日向子(20=RSK山陽放送)は5バーディー、1ボギーの68と伸ばしたものの通算13アンダーで3位に終わった。首位タイで迎えた最終18番でバーディー以上なら優勝が決まったが、痛恨のボギー。全英女子の再現とはならず、凱旋Vを逃した。穴井詩(31=GOLF5)が通算14アンダーで並んだイ・ミニョン(27=韓国)とのプレーオフを1ホール目で制し、今季初となる通算3勝目を挙げた。

 最終18番。グリーン周りには、何重もの人垣ができた。決まれば優勝が決まる5メートルのバーディーパット。全英を制したときと同じシチュエーションだ。だが、渋野は初めての感覚に襲われていた。「なんでこんなに緊張しとんやろ」。手は震え、思ったストロークができない。2メートルオーバー。返しのパーパットも外れた。頑張って笑顔をつくるも、悔しさがこみ上げる。自らの足をパターで叩いた。

 「めちゃくちゃ悔しい。いいプレーができていたのに、最後の最後で台無しにしてしまった。応援してくれた方に申し訳ないです」

 前半に3つ伸ばして首位に並んでハーフターン。後半14、15番で着実にバーディーを奪い、通算14アンダーに伸ばしていた穴井に追いついた。18番に向かう途中でボードを確認。バーディーで優勝、パーでプレーオフという状況は理解していた。しかし、本来であれば原英からの打順のところを先にティーショットを放った。「原ちゃんが打ってから“あ、間違えた。ごめん”って。気持ちが乗っていたのかな」。18番がこの日唯一のボギー。自身でも「これまでにない」という緊張の理由は分からない。「ただただ自分が情けない」と言った。

 英国から帰国後、1日も完全オフがない中で2連戦を戦ってきた。前週には38度の高熱を出し、この日も試合後の会見中に何度もせき込んだ。「体調も全然いい」と言い訳にしなかったが、蓄積した疲労はある。その中で優勝こそ逃したものの、賞金520万円が加算されて今季賞金総額は8479万4570円に。宮里藍以来となる、本格参戦1年目での年間賞金1億円突破が見えてきた。今大会の観客数は2万1844人で今季の3日間大会では最多。観客動員でも大きく貢献した。

 「スマイルシンデレラ」と称され、この1カ月で周囲の環境は激変した。休養に充てる次週は「ゴルフのことは忘れたい」と地元・岡山に帰る予定。試合後は「人前で見せるものではない」と硬い笑顔を浮かべ、涙はロッカーに戻るまでこらえた。次戦は2週後のニトリ・レディース(北海道・小樽CC)。心からのスマイルは、その時まで取っておく。

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