熊本県で11・30開幕!女子ハンド世界選手権 蒲島知事が目指す「成功・感謝・発信・期待」

[ 2019年7月23日 05:30 ]

ハンドボール公式球を投げる蒲島・熊本県知事(撮影・岡田 丈靖)
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 「女子ハンドボール世界選手権」が今秋に熊本県内3市5会場で開催される。世界24カ国の代表が熊本で交流を深め、16日間で96試合が行われる。11月30日の開幕まで残り130日。大会組織委員会の代表理事である熊本県の蒲島郁夫知事(72)が「成功」「感謝」「発信」「期待」の4つについて詳細に語った。女子日本代表の愛称「おりひめジャパン」にちなみ、七夕の7日からはチケット一般販売も開始。準備は着々と進んでいる。

 熊本県でのハンドボールの世界選手権開催は、国内で初開催となった1997年の男子以来2度目。前回は県内の3市4会場で行われ、大会期間中の観客は20万人を超え、経済波及効果は約64億円と推計された。女子の国内招致は今回が初めてで、大会組織委員会の代表理事も担う蒲島知事は、大会の「成功」を大前提に挙げた。

 「開催県として力を込め、成功した男子大会以上に大成功させたい。具体的には選手への快適な試合環境提供など円滑な運営、観戦者数30万人達成、レガシー(遺産)を熊本の発展につなげること。万全な態勢で皆さまの期待に応えていきたい」

 22年前の男子大会で成功した要因に「一校一国運動」が挙げられる。県内の小、中、高校が応援する国を決めて、その国の文化を学び理解を深めた。「子供たちが交流することで海外に興味、関心を持ち、選手とともに喜び、次第に盛り上がっていく」。今大会でも参加国との“融合”を生むように取り組む構えだ。

 2016年4月に起きた熊本地震。まだ復興の途中だが、力をささげてくれた世界中の人々へ「感謝」を伝える大会でもあると説く。

 「地震の際に多くの支援をいただいた。大会を通じて創造的復興の過程を国内外に発信し感謝を表したい。“地震で大丈夫か?”と思われる中で女子アジア選手権(18年11月30~12月9日)を立派に開催することができた。今度は“オール熊本”でおもてなしをしたい」

 大会スローガンにも思いがこもる。「Hand in Hand 1つのボールが世界を結ぶ」は協力、平和、輪のニュアンスだけではない。「震災を経験し、苦しんだ後の支援に対する感謝、絆、一体感を、より国際的な感じで込めました」。まさに、恩返しの大会でもある。

 開幕まで残り約4カ月。チケット一般販売も始まった。集客のためには熊本県の魅力紹介、話題提供など「発信」が重要とみている。

 「食べ物と観光は大事。“来て良かった”“熊本で良かった”と思われる観光を印象付け、経済効果を出していく」。試合会場がある熊本市、八代市、山鹿市のほか、人吉、水俣、天草、菊池、玉名とさまざまな名所があるが“まずは熊本県の顔”と言える2つの観光地の復旧を急ピッチで進めているという。

 「まず何より熊本城。大会開催までに、大天守閣の外観を修復する。あとは加藤清正公こだわりの石垣などは約20年かけて修復する。今しか見られない熊本城の姿をぜひ見てほしい。そして阿蘇へのアクセス復旧。自然が荒々しく作った大草原に行っていただけたら。阿蘇の地下でできたミネラルウオーターもおいしい」。多くの人々が熊本を訪れ、発信した魅力に触れることを願っている。

 大会が成功するためには、女子日本代表の戦いぶりが重要となってくる。97年の男子日本代表は決勝トーナメント1回戦で同大会3位のフランスに22―23と大健闘。強豪相手に見せ場をつくり、大いに沸かせた。女子日本代表は昨冬のアジア選手権では決勝で韓国に敗れたが、堂々の準優勝。おりひめジャパンへの「期待」は高まる。

 「ハンドボールの魅力はシュート。いろんな角度、スピードのシュートがある。凄くダイナミックで見ていてずっと飽きない」。競技の魅力を語る蒲島知事は山鹿市出身。地元には日本ハンドボールリーグ所属の女子チーム「オムロンピンディーズ」がある。「オムロンは重要な企業。県と市を挙げて応援し、多くの選手が日本代表でも活躍している。ぜひ、日本代表には何とかファイナルに残ってほしい。日本の活躍は大会大成功の必須条件ですね」と熱くエールを送った。

◇女子ハンドボール世界選手権 2年に1度の世界一決定戦。1957年に始まり、日本初開催となる今大会で24回目。2021年の次回はスペインで行われる。最多優勝はロシアの4回。前回のドイツ大会はフランスが制し、日本は16位。優勝国は東京五輪出場権と次回大会の出場権を得る。各地の大陸予選を勝ち上がった24カ国が出場。1次リーグは24チームが4組に分かれ総当たりで争う。各組の上位3チーム(計12チーム)が2次リーグに進出。2組で争われる2次リーグは各組上位2チームが準決勝に進出し、決勝は12月15日に行われる。

 ≪上位3枠へ打倒中国、アルゼ≫◇日本が戦う1次リーグD組展望 6月21日に都内で組分け抽選会が行われて、世界ランク13位の日本はロシア、アルゼンチン、スウェーデン、中国、コンゴと同じD組に入った。ロシアは同2位で世界選手権歴代最多の4度優勝、16年リオデジャネイロ五輪金メダルの強豪。スウェーデンは同19位ながら前回大会4位の実績を誇る。抽選会では5チームが振り分けられた後、日本は開催国の特権で組を選択でき、ウルリック・キルケリー監督はD組を選択。「いい戦いができると考えた。1次グループを突破できる3位の座を日本、中国、アルゼンチンで激しく争うことになる」と話した。

◇チケット情報
 ☆申し込みの流れ <1>公式サイトにアクセス(「2019女子ハンド」でネット検索)<2>希望チケットを申し込む<3>申し込み完了メール到着<4>コンビニエンスストアで支払い(クレジットカード支払いは自動引き落とし)
 ☆会場 パークドーム熊本(メイン会場)、アクアドームくまもと、熊本県立総合体育館(熊本市)、山鹿市総合体育館、八代市総合体育館
 ☆種類 1日券、会場パッケージ(1次リーグのみ対象)、ホスピタリティーチケット(パークドーム熊本のみ)、ハッピーアワーチケット(平日の全会場、土日の一部会場限定で販売。2試合目以降に入場可能で各会場のファンゾーンで使えるクーポン券付き)
 ☆問い合わせ先 チケットカスタマーセンター=(電)050(5433)1080

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