伊調 宿命ライバル対決再び!世界切符王手で川井梨と決勝戦

[ 2019年6月16日 05:30 ]

レスリング全日本選抜選手権第3日 ( 2019年6月15日    東京・駒沢体育館 )

田南部コーチ(右)の話を聞く伊調(撮影・小海途 良幹)
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 9月の世界選手権(カザフスタン)代表選考会を兼ねて行われ、女子57キロ級準決勝は五輪4連覇中で全日本選手権覇者の伊調馨(35=ALSOK)が3―3のラストポイントによる判定で辛勝。苦しみながらもリオ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)との決勝に進み、世界切符まであと1勝とした。

 接戦を制して世界切符に王手をかけても、あくまでも伊調は伊調だった。マットを下りると、ウオーミングアップ場へ直行。そのままジョギングやスパーリングで決勝に向けた再減量に取り組み、淡々と取材に応じた。

 「今日の反省は明日に修正して、深く考えずにやれれば」

 予選リーグは8―0、フォール勝ちと圧倒したが、南條(至学館大)との準決勝は苦しい戦いになった。1―1のラスト1分でテークダウンされて2失点。すぐに体を返して2点を奪い、ラストポイント(最後に取った得点が有利)で逃げ切ったが「前半が勝負になると思っていた。(攻撃に)入る勇気を持っていけるかどうか」と反省した。

 3位に終わった4月のアジア選手権後は、「自分のレスリングを心掛けることを第一に考えてきた」と所属の大橋正教監督。仕上がりは決して悪くなかったという。師事する田南部力コーチの求める高い技術的課題に取り組んできたが、試合後は「試合で練習通りを出すことがいかに難しいかを実感している」と吐露した。

 決勝は昨年の全日本選手権決勝の再戦となる。「やるだけなので」と短い言葉に、接戦への覚悟がにじむ。「今までは参考にならない。もう世界チャンピオンでもないし、アジアチャンピオンにもなれなかった。今の自分は挑戦者」。数々の試練を乗り越えてきたベテランは13日に35歳になった。最後は「もう35歳ですよ!!」とおどけてみせたが、その視線の先には4年ぶりの世界選手権出場と、その先にある5度目の五輪がある。

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