沙保里 引退、36歳“霊長類最強女子”東京五輪前に決断 10日会見

[ 2019年1月9日 05:30 ]

12年8月、ロンドン五輪で3連覇を達成し、日の丸を手に場内一周する吉田沙保里
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 レスリング女子で五輪3連覇を達成した吉田沙保里(36=至学館大職)が8日、自身のツイッターで現役引退を発表した。五輪と世界選手権を合わせて世界大会16連覇を飾り、国民栄誉賞も受賞したが、銀メダルに終わった16年リオデジャネイロ五輪以降は試合から遠ざかっていた。1年半後の20年東京五輪に挑戦するかの決断を迫られる中、退く決意を固めた「霊長類最強女子」は、10日に都内で会見する。

 吉田はこの日、都内の日本レスリング協会を訪問して引退を報告した。対応した職員によると、笑いながら「引退することにしました!」と話し、重圧から解放されたようだったという。ツイッターでは五輪や世界選手権のメダル17個を並べた写真を添えて「33年間のレスリング選手生活に区切りをつけることを決断いたしました」と報告。「第二の人生も明るく楽しく笑顔で頑張りたい」とも話し、今後も女子日本代表のコーチは続ける意向だ。

 日本選手団主将を務め、「レスリング人生の集大成」と臨んだリオ五輪53キロ級決勝で涙の敗戦。14年3月に亡くなった父・栄勝さんとの約束だった五輪4連覇を逃した。栄勝さんからは「ボロボロになるまで続けるな。王者のまま引退しろ」との教えを受けており、リオで負けたまま即座に引退を決断することはなかった。

 女子代表や至学館大でコーチとして後進の指導にあたったが、活動の中心はテレビやイベント出演。豊富な練習量で自身を鍛えることが難しくなっていた。東京五輪出場を明言せず、代表選考がスタートした昨年12月の全日本選手権も欠場。メダルを獲れば五輪代表に決まる今年9月の世界選手権(カザフスタン)代表に選ばれるには、6月の全日本選抜がラストチャンスで、進退の結論を迫られていた。

 3歳でレスリングを始め、栄勝さんが自宅につくった道場で武器の高速タックルを磨いた。女子レスリングが五輪種目に採用された04年アテネ大会からは3連覇。外国勢に研究されるとタックルのパターンを増やし、個人戦では01年からリオ五輪の準決勝まで驚異の206連勝。「霊長類最強の男」アレクサンドル・カレリン(ロシア)を超える16大会連続世界一で「霊長類最強女子」と呼ばれ、12年には女子スポーツ界では3例目となる国民栄誉賞を受賞した。

 明るく、サービス精神旺盛なキャラクターで積極的にメディアに登場し、国民的人気者となった。認知度が高まった女子レスリングは競技人口が増え、17年にはインターハイの正式種目入り。栄勝さんが開いたジュニア教室や吉田の母校・至学館大からは“後継者”も続々と現れている。マイナーだった競技の普及や隆盛に計り知れない功績を残し、東京を前にマットを去る。

 ◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年(昭57)10月5日生まれ、三重県出身の36歳。「沙保里」は母・幸代さんがファンだったという南沙織に、82年当時のアイドル・河合奈保子の文字を組み合わせた。三重・久居高―中京女子大(現至学館大)出。全日本王者の父・栄勝さんの影響で3歳からレスリングを開始。五輪3大会を含め、15年世界選手権まで世界大会16連覇。16年リオ五輪は銀メダル。01〜08年に119連勝をマーク。12年に五輪、世界選手権を合わせ、史上初の13大会連続「世界一」でギネス世界記録に認定され、国民栄誉賞を授与された。1メートル57。主戦場は55キロ級だった。

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