早大・中谷雄飛 “大迫ルート”をひた走るスーパールーキーが目指す先

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正月の風物詩、箱根駅伝は東海大の初の総合優勝で幕を閉じた。群雄割拠の戦国駅伝。各チームに個性的な選手や押しも押されもせぬエースが大勢いる中で往路1区を走った早大の1年生、中谷雄飛の走りに注目していた。早大は13年ぶりにシード権を逃したが若返りを図っている最中で、巻き返しに期待したい。その中で中谷は1区1時間2分42秒。区間順位こそ4位だったがエンジのWの姿がどことなく大迫傑(27=ナイキ)と重なった。
中谷は17年全国高校駅伝1区で区間賞。佐久長聖高から早大という“大迫ルート”をひた走るスーパールーキーだ。ランナーとしてのタイプは大迫とは違うが「箱根駅伝で活躍するために早大に来たわけじゃなく、トラックで活躍するために来た。箱根駅伝はそのための一つの大会と捉えている」と言い切るあたりは大迫と同じ。他の選手とは違う何かを感じさせてくれた。
大迫と似ていると感じた部分は駅伝が競技人生のすべてではないとはっきりと発言することだ。早大の相楽監督も「自己主張は強く、性格は似ている部分もある」といい「強い選手はみんなそう。僕からしたら宇宙人ですね」と笑う。
以前、大迫は箱根駅伝を振り返り「箱根駅伝は僕にとってプラスにもマイナスにもならなかった。でも、勝つことや良い仲間に出会えたことは良かった」と語っていたことがあった。少し刺激的だが、言い得て妙だなとも感心した。中谷も「駅伝の練習はスタミナが付くし、それはトラックに生きるとは思う。今は箱根がトラックにつながるかつながらないかは言えないが、箱根が悪かったらトラックにはつながらなかったと思っちゃうかも知れませんね」と笑い飛ばす。トラックやその先にマラソンに向けた強化プロセスの一環だという。大学1年生ですでに、思考の物差しが“大迫目盛”になっていることに驚いた。
長野・諏訪市出身。高校時代は年末年始に実家に帰省したときに箱根駅伝を少し見た程度のレベルだった。3歳ごろから水泳教室に通っていた。陸上を始めたきっかけは小学2年で参加した地区のマラソン大会だった。
「2キロくらいのコースでした。そのときは7番目。3番以内だとメダルがもらえたので、すごく悔しかった。その次の年はメダルが何としても欲しいと思いました」
水泳には通っていたが、母親の志穂さんが中谷の思いを汲みとって、諏訪湖の周りを一緒に走ってくれたという。「嫌になったときも母が尻を叩いてくれた。そのおかげか、次の年の大会では3番でメダルがもらえました」。その後はステップアップしたいという思いから陸上への楽しさが芽生え、瞬く間に全国レベルの選手に成長した。
シューズも大迫と同じナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ4%」を履きこなす。走法も話題となったつま先で蹴るように走るフォアフット。意識して似せているわけではない。中学時代はかかとから着地していたが、高校のクロスカントリーコースで不整地を走った結果、大迫と同じような走り方に行き着いた。「直接会話したことはないですが、大迫選手は憧れの先輩、選手だと思っています。大迫さんの結果、実績を追い越せる選手になりたい」と自信たっぷりに語る。
衝撃の箱根デビューを飾った大迫とは注目のされ方は違うが、目指すところは同じだ。
「五輪、世界選手権に出るだけではなく、勝負したい。日本人選手はトラックで戦えないと言われる固定観念があるが、僕はそうじゃない。大迫さんと同じ考えになるが、日本人でも勝負できるところを見せたい」
昨年出場した世界ジュニアでは惨敗。次なる世界は今夏開催されるユニバーシアード(イタリア・ナポリ)を見据えている。「世界を見ればアフリカ勢に勝てない常識は無い。ユニバーシアードを一つの目標に準備をして、目標達成できたら次へと考えている。狙える大会はすべて狙っていきたい」。“大迫2世”の目指す頂は天下の険よりさらに高いところにある。(河西 崇)
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