大阪桐蔭、初日本一王手!河村が千金トライ 流通経大柏を撃破

[ 2019年1月6日 05:00 ]

第98回全国高校ラグビー第6日・準決勝    大阪桐蔭31―17流通経大柏 ( 2019年1月5日    東大阪市・花園ラグビー場 )

後半4分、左中間にトライを決め、歓喜する大阪桐蔭・河村      (撮影・成瀬 徹)     
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 準決勝2試合があり、大阪桐蔭(大阪第1)が31―17で流通経大柏(千葉)に勝ち、初の日本一に王手をかけた。“トライに縁が薄い男”フランカー河村レイジ(3年)が接戦で迎えた後半に2トライを挙げて突き放し、CTB松山千大主将(3年)の18歳の誕生日に華を添えた。7日の決勝は、東福岡(福岡)を46―38で破った桐蔭学園(神奈川)と対戦する。

 “トライに縁遠い男”を返上する時がやってきた。大阪桐蔭は17―12の後半早々に、流通経大柏ゴール前でFW戦を挑んだ。ジリジリ前進し、最後はフランカー河村。密集から素早くボールを持ちだして飛び込んだ。GKも決まって24―12。同11分もゴール前の肉弾戦でラストを飾り、31―12と突き放した。

 接戦を打破する2トライを挙げたヒーローは「久しぶりのトライ。公式戦だったら…選抜大会?高校総体?以来です」と、今春以来の快感に浸った。1メートル85、84キロの体で、密集のサポート役に回ることが多い。徹底したキック戦術をしてきた千葉の雄に、「嫌がっていた」とFW戦を指示した綾部正史監督(43)が、「力強いというより柔らかい選手。トライと聞いてビックリしました」と驚くほどの活躍だった。

 名前の「レイジ」は、父・正信さんが米国のロックバンド「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」のファンだったことから名付けられた。1年生の12月に右ひざのじん帯を断裂し10カ月も戦列を離れた苦労人でもある。

 「日頃からトライを狙ってるけど、奧井や江良が取ってしまうので。ここしかないと思った」。2年生2人に負けていられない。名前の由来となったロックの反骨魂を彷彿(ほうふつ)させる3年生のプライドを、準決勝で見せた。

 CTB松山主将は5日に18歳を迎えた。キックオフ前の円陣で、感極まる出来事があった。「(CTB高本)幹也が“最高の誕生日にしようぜ”と言ってくれた。涙が出そうになった」。3兄弟の長兄でOBの元太(大体大3年)のヘッドキャップを身につけて、大柄な流通経大柏の守備を何度も切り裂いた。

 決勝の桐蔭学園には、昨年花園準決勝で勝利しながら、春の全国選抜大会決勝では敗れた。「次の試合を取るために1年間しんどい思いをしてきた。最後は笑顔で終わりたい」。主将の言葉に力がこもる。直近の全国大会で1勝1敗の「TOIN対決」を制した先に、初の日本一が待っている。

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2019年1月6日のニュース