陵侑、ジャンプ週間3連勝!次戦“鬼門”突破で史上3人目完全制覇だ

[ 2019年1月6日 05:30 ]

ノルディックスキー・W杯ジャンプ男子個人第10戦 ( 2019年1月4日    オーストリア・インスブルック )

ジャンプ週間3連勝を果たした小林陵(中央)
Photo By 共同

 伝統のジャンプ週間第3戦(ヒルサイズ=HS130メートル)を兼ねて行われ、22歳の小林陵侑(土屋ホーム)が合計267・0点でジャンプ週間3連勝を果たし、1997〜98年シーズンの船木和喜(当時デサント、現フィット)に次いで日本人2人目のジャンプ週間総合優勝に大きく前進した。史上3人目のジャンプ週間4戦全勝へ、残すは6日(日本時間7日未明)のビショフスホーフェン(オーストリア)大会。日本選手未勝利の“鬼門”に挑む。

 得点表示を待つまでもなかった。最終ジャンパーとして2回目を終えた小林陵は、出迎えた日本チームの面々を見つけると、人さし指を立てた両手を振って喜びを表現。「2本ともビッグジャンプだった。楽しかった」。ジャンプ週間の前半2戦は僅差の勝利だったが、この日は別格の強さで圧倒した。

 強めの向かい風を受けた1回目で大観衆を驚かせた。「凄い高かった」と自賛する大飛躍はHSを6・5メートルも越える最長不倒。着地も決めて、課題だった飛型点で58・5点という高得点を叩き出し、リードを奪った。

 2回目は、宮平秀治ヘッドコーチの判断で、他の上位勢より1段低い位置から助走した。速度が出にくいデメリットをはねのけHS越え。スタート位置を下げたことによる加点もあり、2回目の得点も1位だった。

 2位アイゼンビヒラー(ドイツ)に45・5点差(飛距離換算で25メートル以上)をつけてジャンプ週間総合優勝争いで絶対的な優位に立つだけでなく、過去66度で2人しかいない4戦全勝の完全制覇が視野に入る。その前に立ちはだかるのは、日本勢が一度も優勝していないビショフスホーフェンの壁だ。

 1971〜72年シーズンで初戦から3連勝した笠谷幸生は、札幌五輪の国内選考会のために欠場。97〜98年シーズンに日本人初のジャンプ週間総合優勝を果たした船木和喜は、3連勝後のこの試合で8位に終わっている。過去最高は葛西紀明の2位。難度の高い舞台に、どう挑むのか。それでも、日本人男子初のW杯4連勝、シーズン最多7勝と、記録を次々塗り替える日本の新エースは「(連勝に)驚いているけど、違和感はない」と自信に満ちた表情で言った。平成最後、日本のスポーツ界に新たな歴史が刻まれる。

 ▽欧州ジャンプ週間 ドイツ、オーストリアの4つのジャンプ台を8日間で回る、W杯の原型とされる伝統の大会。1952〜53年シーズンに始まった。総合Vは4試合、計8本のジャンプの合計得点で争う。96〜97年から1回目は予選の上位と下位が対戦する「ノックアウト方式」で行われている。4連勝したのは2001〜02年のスベン・ハンナバルト(ドイツ)と2017〜18年のカミル・ストッフ(ポーランド)の2人のみ。

 ◆小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日生まれ、岩手県八幡平市出身の22歳。5歳でスキーを始め、小1から本格的にジャンプを開始。盛岡中央高までは複合との二刀流で、15年4月の土屋ホーム入社後からジャンプに専念。16年からW杯に参戦。18年平昌五輪の個人はノーマルヒル7位、ラージヒル10位。1メートル73、60キロ。

続きを表示

2019年1月6日のニュース