国学院栃木SO前田 骨折した仲間のズボンをはいてシード撃破

[ 2018年12月30日 14:04 ]

第98回全国高校ラグビー第3日・2回戦   国学院栃木28―12日本航空石川 ( 2018年12月30日    東大阪市・花園ラグビー場 )

<全国高校ラグビー 国学院栃木・日本航空石川>1回戦で負傷した伊藤のパンツを履いて出場した国学院栃木・前田(撮影・北條 貴史)
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 国学院栃木(栃木)がBシードの日本航空石川(石川)を撃破した。SO前田玲緒(2年)は負傷で欠場した仲間の思いを背負って出場。後半30分、ゴールまで15メートル付近から、インゴール内へ浮かせたキック。WTB中里泰介(3年)が飛び込んでトライを決めた。28―12。重いFWでトンガ人留学生を終始止めたことで、強敵を破った。

 「アドバンテージが出ていたし、点差や時間を考えてチャレンジしました」

 試合を締めくくった美しいキックを、そう振り返った下級生司令塔。この日は特別な思いを抱いていた。

 初戦・若狭東(福井)戦の開始4分で、正SOの伊藤耕太郎(2年)がタックルを受けた際に右すねを骨折した。全治3カ月。今大会絶望になった。前田は、試合に出られない同級生のズボンをはいて、2回戦のピッチへ。大柄な留学生に「少しでも怖いと思ったら周りに伝わってしまうので」と、勇気を持って止めるために、ズボンを借りた。

 「実際は、めちゃくちゃ怖かったです。でも、やってやろうと思ってました」

 松葉杖姿で見守った伊藤は「自分が出られない分、プレーをしてほしかった」と、自身の名前の刺しゅうが入ったズボンを託した意図を口にした。

 Aシードに選ばれた14年度を筆頭に、これまでノーシードに星を献上することがあった。今回は逆の立場になった。チームを動かす前田は「味方が迷わずにプレーができるゲームメイクをしたい」と、ノーシードの躍進を誓った。

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2018年12月30日のニュース