稀勢 3度仕切り直しで給金直し、心乱さず遠藤下し2敗守った

[ 2018年9月19日 05:30 ]

大相撲秋場所10日目   ○稀勢の里―遠藤● ( 2018年9月18日    両国国技館 )

3度の立ち合い失敗も、4度目で遠藤(右)を下した稀勢の里
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 進退を懸けて土俵に上がっている横綱・稀勢の里が勝ち越しを決めた。平幕・遠藤戦は立ち合いが3度合わなかったが、得意の左四つから寄り切り。新横綱で優勝した昨年春場所以来、9場所ぶりの給金直しとなった。幕内通算712勝とし、史上6位の日馬富士に並んだ。白鵬、鶴竜の2横綱はともに勝って全勝をキープ。高安が豪栄道との大関対決を制し、ただ一人の1敗となった。

 横綱在位10場所目で2度目の勝ち越し。それでも稀勢の里の表情は険しかった。支度部屋ではほとんどの質問に無言を貫いた。立ち合いが合わなかったことを聞かれた時だけ「集中して、しっかり相撲を取ろうと思っていた」と答えた。

 昨年夏場所に初めて金星を配給した遠藤との対戦。最初に突っかけると、2度目、3度目は呼吸が合っていたが三役格行司の木村玉治郎に止められた。4度目は右から張って左四つに組み止め、一気に勝負を決めた。

 取組後は、やはり3度の待ったとなった昨年九州場所初日の玉鷲戦に続いて審判部から注意を受けた。藤島審判長(元大関・武双山)は「手つき不十分。どっちが悪いわけじゃない。どっちも」と説明した。そんな状況でも稀勢の里は心を乱さず自分の相撲を取りきった。藤島審判長は「この一年を考えると、横綱には失礼だが一つの区切りになる」と捉えた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「休場明けだから、横綱といえども勝ち越しはホッとするだろう。終盤戦へ気持ちの面でも全然違う」と稀勢の里の心中を察した。

 8場所連続休場の間に日馬富士に抜かれていた幕内通算勝利も、日馬富士の引退から5場所目でようやく追いついた。日馬富士とは同じ04年九州場所で新入幕ということもあり「稽古で力をつけさせてもらった。横綱になってからはいろいろ教えてもらった。そういうことを後輩に伝えていければ」と話していた。勝ち越しただけで進退問題が完全に終結したわけではない。負傷後は初めてとなる11日目以降の戦いで、どれだけ白星を積み重ねられるか。復活ロードはまだまだ終わらない。

 ▼貴乃花親方(元横綱) 私も中日ぐらいまで苦しかった。中日を過ぎて伸び伸びとやれた。(稀勢の里も)意外といくんじゃないか。昨日の相撲(栃ノ心戦)でそう思った。(現役時代、7場所連続全休から出場した02年秋場所で、稀勢の里と同様、10日目で勝ち越し)

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