野口 スポーツクライミング複合初代女王!唯一全4課題を完登

[ 2018年8月27日 05:30 ]

アジア大会 女子スポーツクライミング ( 2018年8月26日 )

ジャカルタ・アジア大会、スポーツクライミング複合女子で金メダルを獲得した野口啓代(AP)
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 スポーツクライミング複合は決勝が行われ、女子は野口啓代(29=TEAM au)が初代女王に輝いた。

 「凄く大きくて、重くて。W杯のメダルよりも重いなと感じます」。金メダルをいとおしそうに眺めながら、野口は喜びをかみしめた。最終種目のリードは完登できず。最終試技者の史ソルが落下した時点でも「しばらく(順位が)分からなかった」。公式記録が発表され、ようやく笑顔が広がった。

 スピード→ボルダリング→リードの順で行われる複合。最初のスピードは野口らが苦手とする種目で、出遅れた。しかし、得意のボルダリングは圧巻の強さだった。不利な一番手を強いられたが、最初の3課題を順調にクリア。「一番難しかった」という最終課題も4度目のトライで成功させた。指2本で全体重を支えながら、体を大きく振る難所も突破し、6人唯一の全4課題完登。「最終課題に登れたことで1位を獲れた」と胸を張った。

 ボルダリングの世界を究めつつ、複合が実施される東京五輪でも金メダルを目指す。ボルダリングとリードは比較的親和性が高いが、スピードは使う筋肉や練習方法が大きく異なる。「1種目に集中できたら、もっと強くなれるという気持ちがある」と葛藤はある。だが、1日に3種目を練習する日をつくり、7月の代表合宿ではインドネシアの暑さ対策にも着手。だからこそ「3種目、頑張ってきて良かった」と言葉に思いがにじみ出た。

 アジアは制したが、世界にはもっと強力なライバルがいる。野口も「東京でメダルを狙うにはまだまだ実力不足」と冷静に自己分析する。次のターゲットは来月の世界選手権(オーストリア)。一歩一歩確実に、TOKYOの頂点へと上り詰める。

 ▽スポーツクライミング複合 20年東京五輪で実施される形式。高さ15メートルの壁を登る速さを競う「スピード」、さまざまな形のホールド(突起物)が付いた壁で制限時間内の完登数を競う「ボルダリング」、制限時間内での到達高度を争う「リード」の3種目の総合成績を争う。各種目の順位を掛け算してポイントを算出し、少ない順に総合順位を付ける。ポイントが並んだ場合は、各種目ごとの順位で上位種目が多い選手が上になる。

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