白鵬「日馬&貴ノ岩を土俵に戻す」異例Vインタビューで“独り相撲”

[ 2017年11月27日 05:30 ]

大相撲九州場所千秋楽 ( 2017年11月26日    福岡国際センター )

優勝インタビューを受ける白鵬
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 横綱・白鵬(32=宮城野部屋)が26日、千秋楽の優勝インタビューで、異例の振る舞いを見せた。日馬富士(33=伊勢ケ浜)の暴行問題については現在、鳥取県警が捜査し、日本相撲協会も危機管理委員会に一任して調査を進めている段階だが、その最中に渦中の日馬富士と貴ノ岩(27=貴乃花部屋)を土俵に上げたいと語り、最後は万歳三唱で締めた。当事者に対する処分が何一つ決まっていない中、横綱の踏み込んだ発言は、新たな波紋を呼びそうだ。

 異例の光景だった。土俵下での優勝インタビュー。NHKアナウンサーから優勝40回目の感想を求められた白鵬は「その前にこの場を借りて、場所中に水を差すようなことになってしまったことを、全国の相撲ファンに力士代表としておわびいたしたいと思います」と頭を下げた。

 祝福の空気は一変し、ざわめく館内。続けて「この土俵の横で誓います。場所後に真実を話し、膿(うみ)を出し切って日馬富士関と貴ノ岩関を再びこの土俵に上げてあげたいなと思います」と胸中を吐露した。仲間を気遣う気持ちに館内からは拍手が湧き起こった。だが、白鵬の言葉を報道陣から伝え聞いた八角理事長は「危機管理委員会に任せているから、こればっかりは…」と困惑気味に言及を避けた。

 日馬富士の暴行が明るみに出た2日後の16日。朝稽古を終えた白鵬は、報道陣の前で暴行現場となった鳥取市内のラウンジの個室に同席していたことを認めた上で「ビール瓶が滑り落ちたのを私、その場で見ました」と証言した。鳥取県警による捜査が始まった段階での発言とあって、春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)は「警察の(聴取の)前で言うべきこと」と苦言を呈していた。現在も捜査は続けられており、現場の詳細について証言しながら再び「真実を話す」と声に出せば、臆測を生む恐れもある。

 横綱審議委員会(横審)は27日の午後5時30分から東京・両国国技館で行われる。11日目の嘉風戦では立ち合い不成立を主張し、土俵下で62秒間も抗議。騒動が起き、ファンに謝罪したが、横綱として品格を欠く行動は横審でも問われるはず。これをわびることなく優勝インタビューは終了。最後は異例の万歳三唱で締めくくり、九州場所は幕を閉じた。

 酒席に同席した白鵬は27日以降に鳥取県警から事情聴取される見込みで、その後は危機管理委員会の調査も受ける見通し。さらに鳥取県警による日馬富士への再聴取も予定されている。角界を揺るがした暴行問題が、いよいよ全容解明に向けて動きだす。

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