平昌五輪リレー枠獲得 男子ショートトラック渡辺の涙のワケ

[ 2017年11月20日 19:25 ]

 スピードスケート・ショートトラックの男子5000メートルリレーで、3大会ぶりの五輪出場に貢献した渡辺啓太(25=阪南大職)が20日、枠取りを決めたワールドカップ(W杯)第4戦があった韓国から関西空港に帰国した。前日19日の試合は6位。18年平昌冬季五輪の出場をかけたW杯4戦を終え「プレッシャーを感じていたんだと、昨日の試合の後に思いました。まだオリンピックへの通過点でしかないですけど、ひと安心と言うことで涙が出てきました」と喜びを振り返った。

 14年ソチ五輪はリレーの枠を獲得できなかった。エース坂爪亮介が右足首を骨折。その代役で出場権をかけたW杯を戦ったものの、当時21歳の若者は「いろんなプレッシャーがあった」と力を発揮できなかった。日本男子は個人種目のみソチに選手を派遣。渡辺は代表から漏れ、坂爪は4年に1度の舞台に上がった。

 渡辺の目に涙が自然とあふれたのは、戦力になれなかった前回の無念があるからだろう。「泣くとは本当に思っていませんでしたけど、安心からでしょう。やっと取れたって。ソチの時はリレーの枠を取れなくて泣きました」。4年経ち、今では坂爪と並ぶエースに成長。悔し泣きからうれし泣きへと、涙の質が変わった。

 五輪代表は12月の全日本選手権(名古屋)で決まる。五輪を含めて、戦いはこれからだ。誰もがそれを分かっているものの、一区切りがついた前日は、張り詰めていた代表メンバーの気持ちがほぐれる場面があった。

 渡辺が目を赤くしていると、仲間に冷やかされたという。「何で泣いてんねんみたいな感じで。坂爪さんも笑っていました」。骨折で戦線離脱を余儀なくされた坂爪も、4年前の責任を感じていたはず。2人ののどに刺さったままだった魚の小骨が、ようやく取れた瞬間だった。

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2017年11月20日のニュース