総工費1500億円弱 19年11月末完成…新国立応募2案の提案書公開

[ 2015年12月14日 14:48 ]

屋根部分に木を多用したA案(上)と巨大な木の柱で囲むB案

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の新たな建設計画で、設計・施工業者を決める日本スポーツ振興センター(JSC)は14日、応募した業者が外観のイメージなどの詳細な内容を記載した「技術提案書」を公表した。応募したのは2陣営で、総工費はA案が約1490億円、B案が約1497億円だった。

 政府は別途発注する22億円の周辺整備費を含め、上限を1550億円に設定していた。国際オリンピック委員会(IOC)が政府計画の20年4月を同年1月に前倒しするよう求めている完成時期は、ともに19年11月末と早めた。6万8千席の観客席数も満たした。

 公正に審査を進めるために業者名は公表しなかったが、提案書に記載された実績などからA案は大成建設などと建築家の隈研吾氏、B案は竹中工務店と清水建設、大林組の3社と建築家の伊東豊雄氏が組んだものとみられる。

 両案ともコンセプトに「杜のスタジアム」を掲げ、緑豊かな明治神宮外苑地区との調和を重視。白紙撤回されたザハ・ハディド氏デザインの旧計画で約70メートルあった建物の高さはA案が49・2メートル、B案は54・3メートルに抑えた。巨大なアーチ構造だった旧計画とは対照的にオーソドックスな形状で、伝統的な和風建築の要素を取り入れて木材を積極的に活用する。

 業者決定前の応募内容公表は極めて異例で、選考の透明性を高めるのが狙い。JSCは審査委員会が19日に業者のヒアリングを実施し、独自の基準で提案書を評価する一方で、ホームページで国民からの意見を募り、選手の声も聞く。業者は年内の関係閣僚会議で正式決定後、発表される。

 記者会見したJSCの池田貴城理事は「(機能面で)要求水準をクリアする二つの案が出てきてほっとしている」と述べた。応募したとされるゼネコンの広報担当者は「一切コメントしないことになっている」と語り、別の陣営とみられるゼネコンの広報担当者も「個別案件なので、お答えできない」とした。

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