奥原 日本勢初シングルスV「五輪メダル見えてきた」

[ 2015年12月14日 05:30 ]

女子シングルスで優勝した奥原

バドミントン スーパーシリーズ・ファイナル最終日

(12月13日 UAE・ドバイ)
 奥原が世界一を勝ち取った。女子シングルス決勝が行われ、世界ランキング9位の奥原希望(20=日本ユニシス)が12年ロンドン五輪銀メダルで同8位の王儀涵(27=中国)を2―0で下し、年間女王に輝いた。男子シングルス決勝でも桃田賢斗(21=NTT東日本)がビクトル・アクセルセン(21=デンマーク)を2―0で破って初優勝。日本の男女エースが16年リオデジャネイロ五輪の前哨戦を制し、大きな弾みをつけた。

 奥原が頂点に立った。ロンドン五輪銀メダリストを相手に2―0の完勝。勝利が決まると、コート上に倒れ込み、喜びをかみしめた。「本当に凄くうれしい。(疲労で)足がきつかったので、戦い抜けて良かった」。スーパーシリーズ上位8人が集結して年間王者を決める価値ある大会で、日本勢では初めてシングルスを制して涙があふれた。

 最後まで諦めなかった。第1ゲームは相手を左右に揺さぶり、甘い返球を見逃さずに押し込むなど攻め立てた。しかし、徐々に足が止まり始め、逆転を許した。それでも20―20と追いつき、最後は鋭いスマッシュで押し切った。第2ゲームは先行されたものの、「ギアチェンジできたのは今年の改善点」と9―15から追いつき、最後は6連続得点で決めた。30回を超える長いラリーが何度も続き、座り込む場面もあったが、耐えしのいだ。

 飛躍の一年だった。高校3年で全日本総合選手権で最年少優勝を果たした“元祖スーパー高校生”。しかし、13年1月に左膝、14年4月に右膝を負傷して手術。復帰を遂げると、今年は9月のヨネックス・オープン・ジャパンでスーパーシリーズを初制覇。11月の香港オープンでフットワークの感触をつかみ、今月6日まで行われた全日本総合選手権で2度目の日本一に返り咲いた。

 完全優勝。1次リーグから5戦全てでストレート勝ちし「自信になる」。しかも世界1位で世界選手権2連覇のマリン(スペイン)を2度倒しての頂点は大きな価値がある。これまでは18歳の山口茜(福井・勝山高)が目立つことが多かったが、名実ともに日本のエースとなり「充実して一年を締めくくれた。五輪のメダルが見えてきた」。五輪の表彰台へ、希望の光が差し込んできた。

 ◆奥原 希望(おくはら・のぞみ)1995年(平7)3月13日、長野県大町市生まれの20歳。6歳からバドミントンを始める。仁科台中―大宮東高を経て、13年日本ユニシス入社。11年全日本総合女子シングルスを最年少の16歳8カ月で制した。12年世界ジュニア選手権優勝。15年スーパーシリーズのヨネックス・オープン・ジャパンで初優勝。1メートル55、52キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2015年12月14日のニュース