北の湖理事長 来月22日協会葬…親方、全力士参列 ファンも焼香

[ 2015年11月22日 10:33 ]

北の湖理事長の遺体を乗せた霊きゅう車が九州場所が行われている福岡国際センターへ。車の前方には協会関係者と親方衆がズラリと並ぶ

 日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱、享年62)の急死から一夜明けた21日、同協会は12月22日午後1時から国技館で協会葬を行うことを決めた。遺体を乗せた車は都内の自宅へ向けて出発。九州場所会場の福岡国際センターの前に立ち寄り、土俵に最後の別れを告げた。

 北の湖理事長の遺体は亡くなった20日の深夜に病院から福岡市内の斎場に移され、21日には陸路で都内の自宅へ向かった。午後3時25分、布団に眠る北の湖理事長は部屋付きの山響親方(元幕内・巌雄)、弟子だった式秀親方(元幕内・北桜)、同じ一門の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)らに抱えられて車に乗せられた。出発した車はすぐに高速道路に乗らず、回り道して福岡国際センターへ。幕内取組前の3時50分に到着すると、会場の前をゆっくりと通過。最後の土俵を楽しみ、そして別れを告げた。

 八角理事長代行(元横綱・北勝海)ら協会理事や親方衆は会場前に並んで、手を合わせて黙礼。「北の湖理事長ありがとう~」。ファンの温かい別れの言葉もこだました。

 葬儀は近親者だけの密葬で行われるが、この日の協会の臨時理事会で12月22日に協会葬が行われることが決まった。親方や十両以上の全力士らが参列。さらに他のスポーツや政財界の著名人が招かれる予定。そして、一般ファンの焼香場所が設置されることが濃厚だ。現役時代「憎らしいほど強い」と言われながら、愛され続けた大横綱の旅立ちを大勢のファンが見送ることになりそうだ。

 北の湖部屋は山響親方が親方代行を務める。力士は親方不在では相撲を取ることができないが、今場所最後まで北の湖部屋の力士として相撲を取れることになった。また、この日は親方ら協会関係者や、力士は帰りの着物に喪章をつけ、会場外の日の丸は半旗を掲げた。ただ、黙とうなどはなく、土俵の上では通常通りの取組が行われた。玉ノ井広報部副部長(元大関・栃東)は「理事長は常々“土俵の充実”“仕事第一”とおっしゃっていた。その遺志を尊重したい」と説明した。人気復活に導いた北の湖理事長が別れを告げた土俵は、この日も満員御礼の垂れ幕が躍った。

 ▽相撲協会葬 相撲界の発展に多大に寄与した者に対して行う。主に在職中に死去した理事経験者か横綱が対象となる。北の湖理事長の協会葬は、05年6月13日の二子山親方(元大関・貴ノ花)以来10年ぶりとなる。

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