逸ノ城より「勢」まさった 鼻血で待ったなんの!快進撃止めた

[ 2014年9月21日 05:30 ]

逸ノ城(左)との立ち会いで鼻血を出した勢に行司・木村庄太郎が待ったをかける

大相撲秋場所7日目

(9月20日 東京・両国国技館)
 幕内・勢が初日から連勝を続けていた新入幕・逸ノ城を上手投げで破り、5勝目を挙げた。モンゴル出身の“大物新人”を破り、館内では座布団が飛ぶほど大盛り上がり。西前頭5枚目で大きな白星をつかんだ27歳が、新三役を視野に後半戦に挑む。白鵬と鶴竜の2横綱はともに初日から7連勝。全勝の2人を稀勢の里、逸ノ城、隠岐の海が1敗で追う展開となった。
【7日目取組結果】

 誰がモンゴルの怪物の勢いを止めるのか。日に日に注目度が増す話題をモノにしたのは、入門から57場所目で新三役を狙う「勢」だった。デビューから5場所目のざんばら髪の逸ノ城に土をつけると、満員御礼札止めの館内は横綱を倒したかのような盛り上がり。拍手する人、万歳する人、立って叫ぶ人、座布団を投げる人…。まだ5勝目で勝ち越しでもないのに、横綱大関戦の勝利でもないのに“殊勲の星”を評価されてテレビ中継のインタビュー室に呼ばれた。そこでは「誰と当たっても一緒」と謙虚だったが、支度部屋では「先輩として後輩に気持ちで負けてたまるかというのは当然あった」と幕内上位の意地をのぞかせた。

 右四つに組んで先に左上手を取られたが「我慢した」。1メートル92、199キロの巨体とぶつかり鼻血が流れたため、途中で行司の待ったがかかって相撲が中断。呼び出しが血を拭いた後、取組が再開されると「重いし、とにかく必死に」と徳俵で寄りをこらえた。そして相手の安易な上手投げに乗じて低く攻め、押し込んだ土俵際で左からこん身の上手投げ。北の湖理事長(元横綱)も「力が入ったいい相撲」と称えた。

 「気になって眠れないから」と翌日の対戦相手を絶対に耳に入れないのが勢の身上。だが、前日の取組後に支度部屋でテレビをふと見ると「7日目の対戦 勢―逸ノ城」の文字が画面に流れているのを見た。「うわっ、嫌だなあと思った」と振り返るが、前夜は「体も疲れていたし、気づいたら寝てた」。幕内を2年務めて上位でもまれるうちに、どんなトラブルが起きても普段通りに臨める精神力が備わっていた。

 小学生時代に同じ相撲道場に通っていた同学年の豪栄道はもう新大関。「独特の緊張感でも落ち着いてできている」。自身の成長を認める27歳の目には新三役の座が映っている。

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