強風で一時中断も…“高級料理”遼くん通算3アンダー

[ 2010年7月17日 06:00 ]

<全英オープン2日目>2番ホール、ティーショットを放つ石川遼

 第139回全英オープン第2日は16日、英国セントアンドリュース・オールドコース(7305ヤード、パー72)で行われ、首位と5打差の17位から出た石川遼(18=パナソニック)は1番パー4のティーショットを打った後に強風のため競技が一時中断したが、再開後の第2打をピンまで3メートルに寄せてバーディー発進。強風の中、3バーディー、4ボギーと踏ん張り、通算3アンダーでホールアウトした。初日を68で回ったプレーぶりは16日付の地元紙で高級料理に例えられて高評価を受けた。

【ホールbyホール】

 ほぼ無風という絶好のコンディションだった初日とは一転、第2日のセントアンドリュースは海からの強い風が吹きつけた。首位と5打差の石川は赤いキャップ、赤いニットの上着、赤と黒のチェックのパンツと勝負カラーに身を包み、ワトソン、ハリントンとともに1番から気合を入れてスタートした。
 だが、ティーショットをフェアウエーに運んだ後、グリーン上のボールが動くほどの強風により中断。67分間も待たされた。しかし、石川の集中力は途切れなかった。再開後の第2打をグリーン奥から傾斜を使ってピン左上3メートルにまで寄せると、上ってから下るバーディーパットを絶妙なタッチでねじ込んだ。大会初のガッツポーズ。1組前のウッズが同じ1番でボギーを叩くなど各選手が苦戦する状況で最高のスタートを切った。
 前日はメジャー自己最高となる4アンダーをマーク。全英オープン歴代覇者の同組の2人を向こうに回し堂々のプレーを演じ、17位の好位置につけた。その活躍ぶりは、16日付のスコットランド主要紙「ヘラルド」でも紹介された。同紙は「石川のことを高価な刺し身みたいに新鮮で、いきのいいのだけが取り柄の選手と思っているかもしれない。しかし、彼は若いだけでなく、年齢以上に落ち着いて、自信にあふれたプレーを見せている」と表現。火を通され、味付けもされたメーンディッシュ級の高級料理、つまり完成されたプレーヤーとして評価した。
 記事の中では、大会を主催するR&A関係者の石川評も掲載されており、「これまでは日本人選手は皆同じだと思っていたけど、石川を見たらその考えを改めないといけない」と称賛の言葉が並んでいた。
 もちろん、たった1ラウンドで結果が決まるわけではない。それは石川本人が誰よりも分かっている。6月の全米オープンでは第2日まで2位と優勝争いを演じながら失速した。最終日までいかに好プレーを続けられるかは、石川自身のテーマでもあった。
 2番は強烈な向かい風の影響もあって第2打がグリーンに乗らず、アプローチも寄せ切れずにボギーを叩いた。それでも、リンクスでの苦戦は想定内。気持ちを切り替えて3番へと向かった。

 ◆世界が表現した遼
 ★ハニカミ王子 07年5月のマンシングウェアKSBカップで史上最年少の15歳でツアー優勝した際に中継局のアナウンサーが、初々しい様子から名付けた。ちなみにスポンサー契約するトヨタのCMでは「ハニカミ店長」。
 ★ロックスター 09年2月、米ツアー初参戦のノーザントラスト・オープンで派手な色のパンツと黒髪にサングラスを乗せてラウンドするスタイルをニューヨーク・タイムズ紙がたとえた。
 ★ヤング・タイガー 同年3月のアーノルド・パーマー招待の開幕前に、ホストのパーマーが会見で「石川はヤング・タイガーと聞いている」と語った。
 ★クール・キッズ 同年7月の全英オープン第1日に同組のウッズやウェストウッドがコース内の多数のカメラマンにイライラしたそぶりを見せたが、石川は落ち着いてプレー。デーリー・レコード紙が冷静で柔軟な戦いぶりを表現。
 ★ヤング・トム・ワトソン 今回の全英オープンのペアリングが決まった際に、石川と同組のハリントンが「恐れを知らないプレーをするし、年齢の割に自制心がある」と評価。同じく同組のワトソンになぞらえた。

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2010年7月17日のニュース