独立委「外部組織」宣言!“まわし組”を拒否

[ 2010年7月17日 06:00 ]

第1回会議後に記者会見する、「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」の(右から)奥島孝康座長、中島隆信副座長、渡辺美樹委員

 相撲界の再生を目指して設置された「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」(独立委)が16日、東京都内のホテルで初会合を行い、日本相撲協会から推薦されたオブザーバーの参加を拒否した。11人の委員の改革への熱意は強く同委員会は、完全な外部機関であることを強くアピールした。

 独立委の初会合は約2時間40分に及んだが、大相撲の歴史や相撲協会の仕組みなどをメンバーに説明することに大半の時間を割いた。そして、座長に選ばれた奥島孝康氏を中心に問題点を洗い出し「反社会的勢力の排除」と「維持員席」を大きな課題に据え、秋場所(9月12日初日、両国国技館)までに対策をまとめることで一致した。
 年内をメドに工程表を作成し、遅くとも来年3月までに改革案を作ることも決めた。次回の会合は24日の予定で今後は週1回ペースで集まる。メンバーは各部屋や本場所の視察も行う。奥島座長は「一朝一夕に改革できない。歴史と伝統の中ではぐくまれてきたものを維持しながら、当面の課題を中心に相撲界の新しい方向付けを提言していきたい」と話した。
 渡辺委員は理事の3分の2を外部から招くべきだとの持論を展開。現実的には難しいが「逆に腰が据わった。充実した会議で、皆さん本気だと感じた」と意気込んだ。
 紛糾したのがオブザーバー問題。相撲協会は生活指導部の3親方(八角、陸奥、尾車)を発言権のないオブザーバーに加えることを要望していた。会合でも渡辺委員らが加えるべきと発言した。だが、反対意見も多く、奥島座長が断を下し、協会の要求を却下した。
 奥島座長は「オブザーバー」を「参考人」と定義。「原則として参加は認めない。今、相撲協会が置かれている状況を考えると、外部組織という印象を強く持たせないといけない」と説明した。会合中は参考人を別室で待機させ、必要な場合には参加を許し、意見などを求めるという。奥島座長はメンバーが流動的になることも示唆した。
 独立委の提言は理事会に対する強制力を持たない。しかし、オブザーバー問題では“まわし組”を排除し、この日の会合でも出席していた村山理事長代行ら外部役員を途中で退席させた。相撲界特有の身内意識を取り除く考えを前面に出すことで改革への強い姿勢を示した。

 ≪中島副座長 部屋制度改革へ意欲≫奥島座長の指名で副座長となった中島隆信氏(慶大教授)は「ガバナンスが最も重要。個人商店の集まりの部屋制度は、民間企業では考えられない組織」と意欲を見せた。中島氏は「大相撲の経済学」という著書があり、相撲界の組織形態にも詳しい。中長期的課題とされた部屋制度や親方株、相撲案内所(相撲茶屋)の改革について「早く方向性を出さないと、秋場所のNHK中継にも影響する」と話した。

 ≪暴力団排除宣言を提案≫深沢委員は暴力団排除協議会の設置と暴力団排除宣言を行うことを提案した。深沢委員は「相撲界以外の事例についてモデルの提案をした。特に警察や弁護士などと協会がスクラムを組んでやっていく。6年前からプロ野球は先行して行い徹底できている」とプロ野球界を例に出して相撲協会も同様のシステムを構築するよう訴えた。

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2010年7月17日のニュース