乗れないのは呼び出しも「仕事減るし、寂しいし」

[ 2010年7月17日 20:10 ]

 野球賭博問題の影響で、今場所は呼び出しの着物から「紀文」など7社すべてのスポンサー名が消えた。普通の浴衣地を羽織る姿は巡業や花相撲と同じで、呼び出しの間からは「何かビシッと来るものがない」という声が上がっている。

 力士が仕切りでまく塩を用意したり、取組の合間に土俵を掃くなど、呼び出しの仕事は多い。中でも目立つのが懸賞旗を持って土俵を一周する場面。今場所は懸賞金が激減し、NHKの生中継も中止となった。ご当地である名古屋市出身の三段目呼び出し、勝尚(27)=間垣部屋=は「仕事が減るのは寂しいし、テレビに映る機会もなくなった。だから両親は場所に来て僕の姿を見ている」と苦笑いした。
 本場所の土俵はもちろん、地方場所では各部屋のけいこ土俵も呼び出しがつくる。今場所は開催が微妙だったことから、幕下呼び出しの太助(30)=北の湖部屋=は「場所が中止になって土俵を壊すのは何よりも悲しい。ずっと不安だったから、場所が行われて良かった」と打ち明けた。
 初の満員御礼となった7日目は、懸賞金が今場所最多の22本。忙しそうに土俵周辺を動き回る裏方の表情から、久々に苦悩の色が消えた。

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2010年7月17日のニュース