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30年でJリーグが大きく変わったこと、変われていないこと

[ 2022年5月16日 11:35 ]

1993年5月15日、Jリーグの幕開け。試合前のセレモニーで「光の芸術」が繰り広げられた
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 【大西純一の真相・深層】Jリーグ開幕戦のヴェルディ川崎対横浜マリノス戦が国立競技場で開催された93年5月15日から30年。現場で開幕戦を取材したが、あの試合の熱気はいまでも良く覚えている。選手は今の方がはるかにうまいが、気迫、ひたむきさ、そしてスタンドの新しいものが始まるわくわく感などは、今よりあったように思う。

 以来、30年間毎年現場でJリーグを取材しているが、この2年間は新型コロナウィルス感染症の影響もあって、世間のJリーグへの関心が変わってきている。30年前のスポーツ紙は連日2~3ページJリーグの記事を展開し、1面を飾ることも珍しくなかった。試合が毎週水曜日と土曜日にあったことと、新しいものへの関心などで、露出度はプロ野球をしのぐ勢いだった。練習でカズやラモスが何かひとこと言っただけで大きく扱われた。それに連動して日本代表も強くなり、W杯出場につながった。

 近年、紙面でJリーグの記事が少なくなった。社会インフラも変化し、インターネットが普及し、新聞や雑誌に記事が載らなくても、クラブが自力で情報発信できるようになったこともある。DAZNでいつでも見たい時にJリーグが見られるようになったが、逆にテレビの地上波でJリーグが中継されることも少なくなり、お金を出さなければ自宅で見る機会も激減した。開幕時は10チームだったが、各地域にクラブができて58チームになり、サッカーの底辺が広がり、身近になった。逆にその分、Jリーグの特別感が薄れてきた。

 さらに新型コロナウイルス感染症の影響で取材の機会が少なくなった。そうなるとサッカー以外の個性の部分を聞き出す時間はなくなる。お陰で見出しになるようなエピソードはあまり見かけなくなり、ライト層が求めるものと少し乖離してしまった。こんな状態が2年も続くとこれが基準となってしまう。

 Jリーグは元に戻そうとしているが、選手やクラブスタッフの中にはコロナ以前を知らない人もいて、簡単ではない。しかし、すべてを元に戻す必要もない。例えばJリーグの取材スタイルは、90年W杯イタリア大会を参考にしたもといわれている。約200カ国からメディアが来て各試合100人以上が取材するW杯と、ほぼ日本人だけ、数人の記者しかいない会場もあるJリーグは違う。開幕直後のように多くのメディアが取材に殺到することもない。さらに監督の記者会見が終わると、選手は皆バスに乗り込んだ後だったり、効率よくできていない部分もある。埼スタと地方のスタジアムは設備も違う。変えるところ、変えないところを見きわめた方がいい。Jリーグやクラブの幹部の中にも、Jリーグ開幕当時を実感として知らない人もいる。より良いリーグへ、より愛されるリーグへ、真価が問われるときだと思う。

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2022年5月16日のニュース