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千葉OBの羽生直剛氏 人生変えたオシム氏の言葉明かす「もっと上を見ろ。空は果てしない」

[ 2022年5月8日 19:08 ]

明治安田生命J2リーグ第15節   千葉1―0岡山 ( 2022年5月8日    フクアリ )

<千葉・岡山>試合前にオシム氏との思い出を語った千葉OB(撮影・小海途 良幹)
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 サッカー元日本代表監督で1日に死去したイビチャ・オシムさん(享年80)が03年から06年途中まで監督を務めたJ2千葉は8日、ホーム岡山戦で1―0で勝利した。試合前には追悼セレモニーが行われ、“オシム・チルドレン”として活躍した元日本代表MF羽生直剛氏(42)が取材に応じた。

 千葉時代のまな弟子で、06年には日本代表監督となったオシムさんに日本代表に招集された羽生氏は「時間がたつにつれて偉大な人すぎたなというか、僕はほんとに幸せだったなと思う。これからは何らかの形でオシムさんのことを伝えていけるように、語れる機会が増えるような働き方ができたらいいなと思っています」と静かに話した。

 オシムさんから素質を見抜かれ、選手として大成した。「僕なんかは他の人からしたらちっちゃくてただ走っているだけだと言われてもおかしくない中で、“こういうことやれば十分にチームにメリットになれるよ”というのを厳しいながらも伝えてくれていた」と羽生氏。「日本代表クラスや年俸が高い選手が集まっていているわけじゃなかった中で、メンバーをリスペクトしながら長所の組み合わせによって優勝争いを毎年のようにさせてもらったのが一番の凄さだなと思います」と指導者としての手腕を尊敬を込めて懐かしんだ。

 当時かけられて今も一番印象に残っている言葉は、「何でおまえそんなんで満足しているんだ。もっと上目指せよ。なんで代表選手になろうと思わないんだ」という言葉だという。練習開始2、3分で犯したミスを厳しくしかられ、走らされたこともあった。そんなときには、あとでぼそっと「おまえが下手な選手だとは思っていない。あんなミスするわけないと思っているからだよ」と理由を伝えてくれた。一見厳しくても、奥には深い愛情があった。「この人のために頑張りたい、自分も努力してこの人を優勝させたい、この人に認められたい、みたいな気持ちにさせてくれることが多かった」と明かした。

 FC東京でスカウトを務めていた3年前、研修でベルギーに行く機会があり、休日を利用して一人でオシムさんに会いに行った。自身で会社を設立することを考えていると明かした羽生氏に、オシムさんは言ったという。「じゃあもっと上を見ろ。空は果てしない」――。「(それで)やってみようかなと。そこから確信になった」。20年2月、アスリートのキャリア支援などスポーツにまつわるさまざまな事業を手がける会社を立ち上げた。名前は「Ambition22」。オシムさんが何度も伝えてくれた「野心」から取った。

 「“野心を持て”とか“何でおまえそんな満足しているんだ”とか“もっと上を目指せ”とか、必ずオシムさんって僕らに教えたときに“それはサッカーも人生も一緒だから”って言葉を付けるんですよね。いつリスクを冒さないといけないのか、それは社会でもいつなのかとか、そういう照らしあわせの中で生きています」。人と話すときは先入観を持たず、その人の良さを探す。そんな人との付き合い方も、オシムさんから教わったものだ。

 亡くなった今、オシムさんからは「もう俺は教えないよ。あとはおまえが考えて走れ」と言われているような気がしている。ビジネスマンとして歩み始めている新たな人生。「オシムさんのように、僕の周りの人から“羽生さんと一緒に仕事やっているといいことが起きる”って言われるくらい、自分でもクオリティーの高い人間をまだ目指しているし、そういうのはオシムさんから全て教わりました」。サッカーを通じて生き方を示してくれた恩師を思い、羽生氏はしっかりと前を向いた。

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