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「水を運ぶ人」鈴木啓太氏、人生の指針になったオシムさんの「考えろ」

[ 2022年5月3日 05:30 ]

イビチャ・オシム氏を悼む

07年11月の日本代表対エジプト戦、交代した鈴木(左)をねぎらうオシム監督
Photo By スポニチ

 オシム氏は日本代表監督時代に20試合指揮し、計44人を起用した。同監督の下では24人がAマッチデビュー。同氏が重用した「水を運ぶ人」(献身的にプレーする選手)の象徴的存在で、ただ一人全20試合に先発出場した本紙評論家の鈴木啓太氏(40)がオシム氏を悼んだ。

 最初に会ったのは日本代表合宿で、大きい人だなと思った。私は追加招集で呼ばれたが、「オシムさんが求めていることはどういうことなのか」を常に考えながらやっていた。そして最初の試合に先発で使ってもらったことで自信が付いた。

 「水を運ぶ人」というのは私のことだけを言っているのではないと思う。私自身も黒子的なこともやろうと思っていたので、それを分かりやすい言葉で伝えてくれた。私自身も「よし、水を運ぼう」と思ったものだ。そしてこういう選手もサッカーには必要だということをクローズアップし、伝えてもらったのはありがたかった。

 オシムさんはチーム全体の組み合わせを考えていたと思う。試合直前に呼ばれて、プレーの確認をするときはよく「日本が攻撃しているときに、相手の危険な選手を見ておけ」と言われた。リスクを負って攻撃しろとも言っていたが、私にはリスクマネジメントを指示していた。私が守備において信頼されていたからで、うれしかった。

 合宿中の食事時は必ず最後に食べて、選手が何をどれぐらい食べたか、誰と一緒かなど観察していた。そしてオシムさんといるときは何よりも常に考えさせられた。自分たちが考えていることだけでは足りない、もっと考えろ、物事は全てそうだと学んだ。常に課題に取り組み、何をすべきか、どう消化して行動に移すかなどは私の人生の指針になっている。ここで立ち止まったらオシムさんに怒られる。考えながら進んでいきたいと思う。(元日本代表MF)

 ≪オシムチルドレン SNSで追悼≫▼中村憲剛氏 あのイビチャ・オシムに日本代表に呼ばれたことは生涯の誇りであり、オシムさんが教えてくれたこと全てが僕の財産です。感謝してもし尽くせないほどです。本当にありがとうございました。

 ▼羽生直剛氏 今でも聞きたい事が山ほどあってコロナが落ち着いたらまた会いに行くつもりでした。「もっと上を見ろ、空は果てしない」。ボスニアに1人で会いに行った時もらった言葉。あなたのような関わる人全てに影響を与えられるような人を目指します。

 ▼佐藤勇人氏 オシム監督の愛情ある厳しい言葉のおかげで、何となく生きていた自分が何かを成し遂げたい!と強い野心を持つことができました。本当に出会えて良かった。また会いたい。

 ▼播戸竜二氏 日本代表に初めて呼んでくれたオシムさん。一生感謝します。ありがとうございました。

 ▼水野晃樹(神奈川県1部はやぶさイレブン)オシムさんに出会わなければサッカーの楽しさ、奥深さにも出会わなかったと思う。特長を見いだしてもらえた。最高の指導者の下、最高の時間でした。

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2022年5月3日のニュース