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梅山修氏 スタイルぶつけあって敗戦…結果と向き合い再出発を

[ 2021年9月14日 05:30 ]

明治安田生命J2第29節   新潟1―2山形 ( 2021年9月11日    デンカS )

山形戦で戦況を見つめるアルベルト監督
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 【元アルビ・梅山チェック】速くて強くて攻撃的、かつ戦術的なチーム同士の戦いは、サッカーという視点では非常にハイレベルで“Jリーグの目指す姿”を表すような試合だった。

 今季、新潟が失った勝ち点(敗戦や引き分け)は、相手が新潟用に準備したと思われる前線からの激しいプレスや、ゴール前を固める守備的なチームに阻まれてきたもの。しかしこの日の山形は、新潟を意識した戦いというよりも、守備と攻撃で人の立ち位置を可変させる自分たちの攻撃的なスタイルを徹底して結果を出した。新潟としては、この自分たちのスタイルをぶつけ合って敗戦したという、言い訳のできない事実と向き合わなくてはならない。

 とはいえ、前半10分のCB(センターバック)早川から、DFの背後にランニングしたMF高木へのシンプルなロングパス、その高木からのクロスを見事なボレーシュートで決めた谷口の先制点は、その打開策を自ら示したと言える。このシーン以外にも特に前半は、自陣でボールを奪った瞬間に攻撃で高い位置を取る相手の両SB(サイドバック)の背後を素早く突く意図は見て取れたし、実際に多くのチャンスをつくった。このように「いかに素早く攻めるか」あるいは「いかに相手の背後を突くか」は重要なポイントになる。

 個人的にはボールを保持し、攻撃し続けようとするポゼッションサッカーの信者である。しかし、気をつけなければならないのは、ポゼッションという言葉を強調しすぎると、それ自体が目的化してしまい攻撃が遅くなる傾向がある。そもそもポゼッションもビルドアップも、その最大の目的は相手を動かして「背後を突き」「ゴールを決める」こと。先制点はそれを自ら端的に示した。

 また、この日の山形から学ぶべき点として、ゴール前のスプリントが挙げられる。2失点はいずれも、蹴り込むべきゴールに向かって複数人がスプリントしている。シュートを打つために走り込む人数とスピードが、ゴール数と結果に違いを生んだと言えるだろう。

 次節はアウェーの東京V戦。監督交代直後のチームには集中力や一体感が高まりやすいので特に注意が必要ではある。しかし、この1週間は改めて「良いサッカーとは何か」「目的は何か」という自分たちのサッカーと向き合うことが、昇格戦線を戦い抜く上でより重要となる。(元アルビレックス新潟DF)

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2021年9月14日のニュース