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佐々木則夫氏が語る準々決勝スウェーデン戦のポイント 攻守の切り替え、2次攻撃のスピードUPを

[ 2021年7月30日 05:30 ]

佐々木則夫氏
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 なでしこジャパンは30日、準々決勝でスウェーデンと対戦する。1次リーグを3戦全勝で突破した強豪で、厳しい試合になることは間違いない。12年ロンドン五輪で銀メダル、11年のW杯ドイツ大会でなでしこジャパンを世界一に導いた佐々木則夫氏(63=本紙評論家)はここまでの戦いをどう見たか。そして、スウェーデン戦にはどう臨めばいいかを伝授した。

 1次リーグ3試合で感じたのは、「軸の選手が固定されていない」ということだった。6、7月の親善試合や壮行試合ではチームのベースが出来上がったように見えていた。

 ケガや疲労、対戦相手の特徴を考慮したのかもしれないが、GK、CB、ボランチ、FWなどの軸が試合ごとに入れ替わり「このメンバーで戦う」というものが鮮明ではなくなっている。5人まで交代できるので、コンディションを優先することも必要だが、その分、連係が消えている。

 試合内容では大会前は良かった攻守の切り替えに問題がある。軸が固定されていないことが関連していて、特に前線での攻守の切り替え、つまり攻撃時にボールを奪われ、再び奪い返す2次攻撃のときのスピードをもっと上げた方がいい。3試合で2点しか取れていないのは、これも関係していると思う。

 球際の意識も必要だ。私がなでしこジャパンを率いた頃は、1対1のときに球際を深く、強くと求めてきた。最後はスライディングだった。相手がクロスを上げてきたときも、先に体をぶつけにいってずらすことを徹底した。コンビネーションも重要だが、個の部分で積み上げも大事だ。

 スウェーデンはF組1位、3戦3勝と好調だ。前線に決定力のある選手がいるし、ここを警戒すると他の選手のマークが緩くなる。3試合で9得点の決定力はだてではない。体の大きい相手は嫌なものだが、金メダルを狙うならどこかで倒さなければならない。ただ、スウェーデンとは相性も悪くない。11年W杯ドイツ大会でなでしこジャパンが優勝したときも、準決勝で対戦して逆転勝ちした。スウェーデンは1次リーグで楽な戦いばかり、日本は3試合とも厳しい試合をしてきて精神的には勝っている。11年も1次リーグ最終戦でイングランドに負けたときだったと思うが、澤や山郷が選手を集めて「自分を信じ、仲間を信じ、大好きなサッカーを頑張ろう」と呼びかけ、一度も勝ったことがなかったドイツに勝った。一発勝負になるだけに、こういうことも必要だろう。

 ここまで来たら相手より自分たちのサッカーをすること。3試合を通じて調子がいい杉田やベテラン中島、三浦をうまく使い、シュート力のある遠藤を途中から前線で使うなど戦い方はある。身近なところにいい手本もある。男子五輪代表の切り替えの早さを参考にして戦えば、メダルは手が届くと思う。

 ◇佐々木 則夫(ささき・のりお)1958年(昭33)5月24日生まれ、山形県尾花沢市出身の63歳。帝京高から明大を経て電電関東(現J2大宮の前身)に入社し、DFやボランチとして活躍、現役引退後はコーチなどを経て大宮の初代監督に。06年から女子日本代表コーチ、07年12月から監督に。11年女子W杯ドイツ大会で優勝、12年ロンドン五輪で銀メダルを獲得。16年リオ五輪の出場権を逃したことで退任。現在、十文字学園女大副学長やWEリーグ・大宮の総監督も務める。

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