カズの本当の価値

[ 2020年10月1日 08:30 ]

<川崎F・横浜FC>ボールを追う三浦知良(撮影・篠原岳夫)
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 【大西純一の真相・深層】カズが9月23日の川崎F戦(等々力)で、J1今季初出場。53歳6カ月28日でのJ1出場がどれだけすごいことかは、すでに語り尽くされているので省略するが、原動力は若い頃の練習のたまものであることはまちがいない。日本リーグの終盤からJリーグが開幕した頃、よく取材したが、シュート練習でも「あと1本」と、だれよりも多く練習した。

 全体練習終了後、他にだれもいなくなったグラウンドの隅にポールを2メートル間隔ぐらいで10本ほど2列に立て、その間をリフティングしながら回る練習をひとりで黙々とやっていたこともあった。何度も失敗しながら挑戦していた。他にもフェイントの練習など、自分で考えたメニューをよくやっていた。

 プロ野球担当だった頃、ロッテ時代の落合博満を取材したが、彼もだれも見ていないところでよく練習した。全体練習が休みの日に川崎球場の室内練習場で打っていた。ホームベース上で横向きに構えてマシンの球を打った。試合前の練習でもティー打撃でボールの芯を叩くのではなく、ボールの数ミリ下を叩いてほぼ真上にスピンをかけたボールを打つ練習をするなど自分だけのメニューがあった。達人は練習もマニュアル通りに決められたことをやるのではなく、自分で考えてやっていた。

 監督やコーチが用意したメニューをしっかりやればうまくなる。だが、傑出した選手になるには、探究心を持って、自分で練習を工夫することが必要だとこの2人から教えられた。

 カズは筋肉を見ただけでも、今でも相当なトレーニングをしていることがわかる。天才ではなく、努力の人だからこそここまでできたと思う。そして何よりも重要なのはサッカーを極めようとする気持ちがあるから。それがなければここまで来ることはなかったと思う。

 若い選手にはぜひ、カズの記録だけでなく、プロセスも目標にしてほしいと思う。 

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