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横浜FC・カズ、53歳の頭魂!ルヴァン杯最年長出場で魅せた

[ 2020年8月6日 05:30 ]

YBCルヴァン杯1次L第2節   横浜FC1―0鳥栖 ( 2020年8月5日    駅スタ )

前半、ボールを要求する横浜FC・三浦(撮影・岡田 丈靖)
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 各地で7試合が行われ、横浜FCのFW三浦知良(53)は鳥栖戦で今季公式戦初出場初先発し、後半18分までプレー。2007年12月1日のリーグ戦(対浦和)以来13年、4631日ぶりのJ1の舞台で前半29分には強烈ヘッドを放つなど見せ場をつくった。53歳5カ月10日での出場は土屋征夫(甲府)のルヴァン杯最年長出場記録(42歳10カ月)を大幅に更新。試合もMF瀬沼優司(29)の劇的ゴールで1―0と勝利した。

 低い弾道のクロス、やや後ろに下がりながら難しい体勢。それでもカズは瞬時に体を沈め、頭で合わせた。前半29分、強烈なヘッドが相手GKを襲った。惜しくも好セーブに遭ったが、前半、横浜FCが放った唯一の枠内シュートだ。右手でピッチを叩き、悔しがるカズ。どよめく敵地。絵になる。やはりカズはカズだった。

 待望の今季初出場。開始11秒、いきなり相手選手に激しくチャージしたが、これが戦闘開始の合図。「自分の気合を示したかった」。主将マークを巻き、公式戦4連敗中のチームをけん引した。強烈ヘッドの場面は「もう少しタイミングが良ければゴールになっていたと思う」。“ひとりカズダンス”が見られる日も近そうだ。

 この日を待ちわびていた。コロナ禍はカズからもサッカーを奪った。53歳にとって約4カ月もの中断は調整も困難を極めた。カズは近所に借りる専用トレーニング室で体を動かし、精神を安定させた。筋肉はつきにくく落ちるのも早くなった。「試合に出てゴールを決めるという思いだけでトレーニングしていた」。6月初旬、チームの練習再開と同時に実施された体力テストの数値は低迷。7月4日のリーグ再開後も出場機会はなく先月中旬、サブ組の練習試合でも出番は後半からだった。だが決して下を向くことはない。若手に交じり、懸命にボールを追い続けた。「必ずチャンス(出番)は来る」と言い続けた。

 サッカー中心の生活が消えた間、得意のもんじゃ焼きを振る舞うなど家族とのだんらんが支えだった。母校の静岡学園高サッカー部から届いた一本の動画にも癒やされた。1月高校選手権を制するとカズはグアムV旅行をプレゼント。まだコロナ禍の拡大前、カズが自主トレで使う南国のピッチで練習する映像だった。全てがこの日につながっている。

 コロナ禍による変則シーズンはまだ序盤。イニエスタの股を抜くという究極の目標もある。最年長出場記録も通過点、新たなキング伝説は始まったばかりだ。 

 ▼横浜FC瀬沼(決勝ゴール後、カズの元へ)試合に出られない時間が長い中、毎日、背中を見て学ばせてもらっている。決して弱音、マイナスなことは言わない。感謝の気持ちがあふれてカズさんのところに行きました。

 【各競技の最年長】
 ☆野球 山本昌(中日)が15年に50歳2カ月で登板。
 ☆バスケットボール 今年5月に引退した折茂武彦(北海道)が同3月に49歳10カ月でBリーグ出場。代表兼選手として活躍した。
 ☆ラグビー 松園正隆(宗像サニックス)が16年に43歳0カ月でトップリーグ出場。
 ☆スキージャンプ 葛西紀明(土屋ホーム)が14年に史上最年長の42歳5カ月でW杯優勝。49歳での22年北京五輪も意欲。
 ☆相撲 年6場所制となった58年以降の最年長関取は15年旭天鵬の40歳10カ月。今年7月場所では序二段の華吹が50歳2カ月で出場。

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