クラブOBにしかできないこと

[ 2018年5月30日 09:30 ]

激励マッチに参加した選手たちと藤川氏(前列右から6人目)
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 【大西純一の真相・深層】元ヴェルディ川崎のGKで、がんで闘病中の藤川孝幸さん(55)の激励マッチが5月26日の東京ヴェルディ―愛媛FC戦(味スタ)の試合前に行われた。ヴェルディのOBら約40人が、背番号18のTシャツを着て15分ハーフの紅白戦などを行い、藤川氏を激励した。

 藤川さんは現在北海道リーグのクラブチーム・北海道十勝スカイアースの代表を務めている。新体制発表会見など、人前に出なければならないこともあり、がんと闘っていることを公表したという。昨年12月にがんが見つかったときには、すでにステージ4と診断された。胃がんが4・5センチ、リンパ節は8センチで内蔵を圧迫していて余命3カ月、緩和病棟で死を待つしかないといわれたが、「抗がん剤で、半分とはいかないものの、かなりよくなった」と、説明した。

 藤川さんは元チームメート立ちの激励について「ヴェルディは自分の命、すべて。ここのOBやチームメートがいないと生きていけない。何とか奇跡を起こして恩返ししたい」と話す。不屈の闘志で病気と闘う藤川さんは、体重こそ30キロやせたものの、鋭い目も健在。ファイトあふれるプレーでゴールを守っていた現役時代と変らない。病気と戦う姿は、同様に病気と闘っている人たちにどれだけ勇気を与えていることか。藤川さんだからこそできることではないか。

 それにしても、当日集まった顔ぶれがすごかった。ラモス瑠偉、都並敏史、加藤久、武田修宏、柱谷哲二、菊池新吉、永井秀樹、藤吉信次、ジョージ与那城各氏ら、読売クラブからヴェルディ川崎、東京ヴェルディで栄光を築いた選手ばかりだ。

 永井さんは「僕たちができるのはサッカーを通じて励ますことだけ。パワーを届けたい」都並さんも「みんなで念を送って、治ってほしい」とエールを送る。仲間から慕われる藤川さんだからこそこれだけのメンバーが集まったのだが、仲間のためにこれだけのことができるのもヴェルディの底力だ。こんなことができるクラブはなかなかない。しかし、仲間や地域のためにOBが集まることも、Jクラブの存在意義だと思う。

 「移籍が頻繁で、どこのOBだかわからない」という選手もいるが、一度でもユニホームに袖を通せばそのチームのOB、古巣がいくつあってもいい。クラブのOBが活躍できてこそクラブの伝統ができる。ぜひ、ヴェルディに続くチームが出てきてほしいものだ。

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

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