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澤、連覇へ最年長弾だ!最後のW杯「やりきった…と言える大会に」

[ 2015年6月9日 05:30 ]

さあ連覇へ出陣。スイス戦を控えリラックスムードで練習する澤(手前)と近賀

 W杯カナダ大会で連覇に挑むなでしこジャパンは8日午後7時(日本時間9日午前11時)、1次リーグC組初戦でスイスと対戦する。前回11年ドイツ大会で大会MVP&得点女王に輝き、優勝に貢献したMF澤穂希(36=INAC神戸)は今回が自身最後のW杯になることをあらためて明言。男女を通じて史上初のW杯6大会出場となるレジェンドは女子W杯最年長ゴールを視野に、W杯連覇で後輩たちに女子サッカー発展の思いをつなぐ意気込みを示した。

【女子W杯カナダ2015 メンバー】

 不退転の決意を、ひと言に込めた。

 「“やり切った”と言える大会にしたい」

 いよいよ幕を開ける澤にとって最後のW杯。穏やかな表情の中にも、揺るがぬ覚悟が宿っていた。

 スイス戦での先発は確実。男女を通じて史上初のW杯6大会出場とともに、日本人選手では初の代表通算200試合出場も達成する。さらに36歳275日での得点となれば、07年中国大会でリリー(米国)が残した36歳62日の女子W杯最年長ゴール記録も更新となる。澤は「記念すべき試合で光栄です。勝ち点3につながる良い試合にしたい」と訴え、節目の試合での白星発進を誓った。

 試合前日の公式練習では、リラックスした表情で試合会場の人工芝の感触を確かめた。「強いボールを蹴らないと止まるイメージがあるけど、凄くきれいな芝だった」。湧き上がる高揚感が、4年前の記憶をも呼び起こす。「前回の決勝を思い出す雰囲気。凄く楽しみ」。主将として初優勝を果たした11年ドイツ大会は大会MVP、得点女王と合わせて3冠を達成した。歓喜の瞬間から4年。連覇を目指す戦いに戻ってきた。

 未来の後輩のためにも全力を注ぐ。「結果が全てだと思った前回大会だった」。東日本大震災で沈む列島に勇気と希望を与え、国民栄誉賞を受賞。女子サッカーはスポットライトを浴び、取り巻く環境は激変した。「たくさんの人に知ってもらえる機会だけど、それと同じくらい結果を出さないと。4年前からの進化が求められている」と危機感を募らせている。

 振り返れば00年シドニー五輪の出場権を失った90年代後半、人気を失った国内の女子リーグは壊滅状態に陥り、自身も海外へ渡った。結果が出せなければ、忘れ去られる。それは身に染みて分かっている。現在の女子サッカーを取り巻く環境に、優勝した前回大会直後ほどの熱気はない。苦難の時期を知るだけに「今後の子供たちが良い環境でサッカーをやれるようにしたい」と奮い立った。

 当時15歳だった93年に日の丸のユニホームに袖を通し、日本女子サッカーを支えてきたレジェンド。その背中には女子サッカーの未来も懸かっている。

 「今、持っている全てを出さないと。先頭に立って結果を残したい」。なでしこジャパンの象徴が最後のW杯で力強く咲き誇る。

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