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未来のなでしこ18歳・杉田 新ボランチ像で世界と戦う

[ 2015年4月29日 09:30 ]

昨年の全日本高校女子サッカー選手権大会で準優勝に輝いた藤枝順心の前主将・MF杉田妃和

 昨年の全日本高校女子サッカー選手権大会で準優勝に輝いた藤枝順心の前主将・MF杉田妃和(18)が、なでしこリーグINAC神戸に今春入団。12日の大阪高槻戦で早くもデビューを飾った。だが、MF澤穂希(36)らなでしこジャパン代表が居並ぶ強豪の中で、開幕5戦で出場わずか13分とレベルの差を痛感。それでも、昨年のU―17女子W杯(コスタリカ)で日本を初優勝に導いた“世界一の主将”は、4年後の女子W杯フランス大会出場を目指し厳しい競争を勝ち抜く覚悟だ。

 なでしこ戦士との時間は「みんな優しくしてくれるし、楽しい」と杉田。だが、サッカーとなれば話は別だ。MF澤やMF川澄奈穂美(29)ら女子W杯カナダ大会(6月6日開幕)の予備登録メンバー9人を擁するINACは「練習から緊張感があるし、今までとは違うピリピリ感がある」。自慢のパスやドリブルが通用せず、判断やスピードも「ついていけないことが多い」と明かす。

 レベルの高さを痛感する一方で、新たなボランチ像を思い描いている。高校まではゴールに直結するプレーを第一に考えていたが、各ポジションに代表クラスがそろうチームでは「周りをうまく使いながらプレーしないと厳しい」と連係で崩すことを優先。簡単にボールを散らすことや、サイドチェンジを使う意識が強くなり「高校の時と違う楽しさがある」と充実感を漂わせる。その姿が松田岳夫監督(53)の目に留まり、12日の第3節・アウェー大阪高槻戦でリーグデビュー。以降は出番がないが、5月2日の第6節・ホーム新潟戦(ノエスタ)に向けて調整を続けている。

 再び世界と戦う。19~23日にはU―19女子日本代表候補合宿(J―STEP)に参加。高校3年間を過ごした静岡の地で久しぶりに汗を流した。合宿中には清水ユース、東海大静岡翔洋との練習試合に出場。男子選手のフィジカルに苦しんだが「しっかり体を入れて相手をかわすことを意識した。いいプレーができたところもあった」と手応えを得た。清水ユース戦は、なでしこジャパンの佐々木則夫監督(56)も視察。「自分を出していかないと、なでしこには入れない。怖さと面白いプレーができればいい」と決意をにじませた。

 W杯へ、五輪へ。世界を知る18歳が一歩ずつ階段を上がっていく。

 ◆杉田 妃和(すぎた・ひな)1997年(平9)1月31日、北九州市生まれの18歳。小学2年から二島FCでサッカーを始め、中学1年からFCグローバルに所属。日本代表では12年のU―17女子W杯アゼルバイジャン大会で8強。13年のU―16アジア女子選手権、14年のU―17女子W杯コスタリカ大会では主将として優勝に導き、大会MVPを獲得。今春からなでしこリーグINAC神戸でプレー。1メートル61、54キロ。血液型O。

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2015年4月29日のニュース