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ポゼッション固執で選手編成のタイプに偏り…6人出場機会なし

[ 2014年6月29日 08:25 ]

ギリシャ戦でベンチスタートのGK権田(左)ら。出場できなかった選手は過去最高の6人だった

 W杯1次リーグ第2戦のギリシャ戦はザックジャパンのメンバー構成に、大きな疑問を投げかけた一戦だった。コートジボワールとの初戦を落として勝利が求められる中、終盤まで0―0で進んだ。ザッケローニ監督の手元には残り1枚の交代枠があった。しかし、指揮官が指示したのは第1戦に続いてDF吉田を前線に上げるパワープレー。交代枠を使い切ることなく、ドローに終わった。

 「もう一度メンバーやスタッフを選べるとしても、私はまた同じメンバー、スタッフを選ぶ」。ザッケローニ監督は退任のあいさつで、選手たちにそう声を掛けた。過去最多の海外組12人を擁したチームには満足感を示していた。ただ、3試合を通じて出場機会がなかったのは6選手(西川、権田、斎藤、酒井高、酒井宏、伊野波)にも及んだ。これは過去最多だ。試合終盤のパワープレー戦術が指揮官の頭の片隅にあったのなら、この中の1枚を削って長身FWのハーフナーや豊田を選出することはできなかったか。パワープレー要員が不在のメンバー構成で一度も試したことがない戦術を採用したことは、選手の戸惑いを生んだだけだった。

 不出場の選手が多かった要因は、戦術の引き出しの少なさにもある。DF伊野波は「3―4―3システムを試すべきだったと思う。そうすれば相手の目先を変えられたし、試してほしかった」と振り返ったが、指揮官はW杯での3―4―3システムは封印していた。ボールを保持してパスをつなぐサッカーしか戦うすべを持っていなかった。

 そのため似たタイプの選手が名を連ねた。代表の常連だったMF清武はコロンビアとの最終戦で6分間出場しただけ。逆に指揮官の就任直後に一度しか招集されなかったFW大久保は、サプライズのメンバー入りだったが2試合でフル出場。だが右MFや1トップなど起用ポジションが定まらなかったため、本来の力を発揮できずに終わった。事前に招集していれば、もっと周囲との連係を高められたはずだ。

 救いは一つ。清武をはじめ、不出場組のほとんどが若いということ。この経験を4年後のロシア大会で生かすことができれば、ベンチから見守ったブラジル大会も、少しは意味を持つことになる。

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2014年6月29日のニュース