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攻守に不安のオランダ 1次L敗退もありえる ファンペルシーも弱気

[ 2014年6月12日 13:40 ]

8日の会見で弱気な発言も聞かれたオランダ代表エースFWファンペルシー(AP)

 ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が12日、開催国ブラジルとクロアチアの試合で開幕する。前回大会決勝進出を果たすも初優勝を逃したオランダは、マンチェスター・ユナイテッドの監督就任が決まっているファンハール監督のもと、悲願の栄冠を手にできるのか。海外サッカーの解説者として活躍しているサッカージャーナリスト粕谷秀樹氏に、オランダ代表の展望を聞いた。

 W杯開幕が目前に迫ったいま、オランダのFWファンペルシーがコンディション調整に苦しんでいる。古傷の大腿部に加え、6月5日のウェールズ戦(準備試合)で負傷した鼠径(そけい)部の回復が思わしくなく、その発言も彼らしからぬ弱気な内容だ。

 「この4~5シーズンは、常に身体のどこかに痛みを抱えている。ワールドカップもベストの体調で臨めるかどうか……」

 従ってオランダはフンテラール、もしくはレンスがFWの軸になると考えられるが、ファンペルシーの代役が務まる器ではない。また、3月に左ひざ前十字靭帯断裂の重傷を負ったストロートマンは最終枠の23名にも残れなかったため、中盤の構成力も著しく低下した。

 しかも今回のチームは、守備陣に難がある。デフライ、フラール、ブリントといった若者たちは才能にあふれ、いずれは世界的な強豪、名門に移籍するだろうが、W杯を経験した者は皆無だ。すなわち、平常心で闘える確率は極めて低く、勝ち点が“ある程度”計算できるのはオーストラリア戦のみ、といって差し支えないだろう。充実の攻撃陣を誇るスペイン、ハイプレスを持ち味とするチリとの一戦は、現時点で敗色濃厚だ。

 過去に出場した7大会はすべて決勝トーナメントに進出したオランダだが、今回ばかりは厳しい。厳しすぎる。攻守ともに不安を抱えたいま、1次リーグでの撤退も十分すぎるほど考えられる。

 ◇粕谷秀樹(かすや・ひでき) 東京都・下北沢生まれ。「日本スポーツ企画出版社」にて週刊サッカーダイジェスト副編集長、月刊(後に月二回刊)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長、同社の編集局次長などを経て、2001年に独立。現在は「スカイパーフェクTV!」、「Jスポーツ」などで、欧州チャンピオンズリーグ、プレミアリーグの解説者として活躍中。

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2014年6月12日のニュース