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主将交代、新攻撃パターン確立…見えてきた「沢依存からの脱却」

[ 2012年3月15日 17:33 ]

練習終了後、沢(左)と話し込む宮間

なでしこジャパン アルガルベ杯の進化

 アルガルベ杯・米国戦当日の5日朝、なでしこジャパンに動揺が走った。大黒柱のMF沢が体調不良で欠場することになった。佐々木監督は「沢が使えないと分かった時点で決めた」と代役に田中の起用を即断した。予期せぬ形でエース抜きの戦いを強いられたが、指揮官にはある意味想定内だった。以前から沢依存からの脱却に動いていたからだ。沢がつぶれれば機能しないようでは金メダルなどおぼつかない。1人に頼らないチームにすることが必要と考えていたのだ。

 最初に打った手が主将交代。W杯後に沢と何度か話し合った末、2月の和歌山合宿から宮間にバトンタッチさせた。宮間は10年アジア大会でも主将を務めており宇津木が「ユース世代から主将だったし(宮間)あやで間違っていない」と話すように選手も歓迎した。

 どんと構え背中で引っ張る沢に対し宮間は喜怒哀楽を前面に出す。「楽しいのが好きだから明るいチームを目指したい」と本人が言うように練習中、活発に声が飛ぶようになった。チームの雰囲気は良い方へ変わった。

 沢の代役ボランチをつくることも課題だった。33歳の沢は負傷や体調不良が続いており、五輪でフルで使えないことも考慮しなければいけないからだ。代役候補の田中は期待に応え副産物も生まれた。沢と組む時はバランサー役の阪口が、田中のサポートで積極的に攻めに出るようになった。「いろんなチームも研究してくるだろうし、上がれるのはチャンスかも」と阪口。図らずも新たな攻撃パターンが確立された。

 「(沢の)代わりを務める人はいる。あやもぶれないでいてくれるから」と岩清水が言うように、この大会は沢依存からの脱却に向けた第一歩となった。ここに負担が軽くなった沢が万全で戻ってくれば、なでしこジャパンはさらなる強さを手にすることになる。(特別取材班)

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2012年3月15日のニュース