【有馬記念】夢追いオジュウ!万全仕上げラスト強め12秒6

[ 2018年12月20日 05:30 ]

ユキノヴェルデ(右)と併せ追い切るオジュウチョウサン(撮影・郡司 修)
Photo By スポニチ

 有馬記念の最終追いが19日、美浦・栗東両トレセンで行われた。最大の注目を集める障害界の絶対王者オジュウチョウサン(牡7=和田正)はWコースでラストデモ。陣営は史上初の平地&障害G1制覇へ仕上がり万全のジャッジだ。3歳時の有馬記念ファン投票0票から、今年は10万票を超える支持を集めた平成最後のアイドルホースが大一番へ準備万端整えた。

 広々と澄み切った青空と同じスカイブルーをまとった二刀流の総仕上げ。オジュウチョウサンが師走の乾いた空気を熱気に変えた。

 「前に馬を置いて追い掛け、最後は少しうながす形で併入しました。順調です」。こう振り返る和田正師の表情が和らいだ。最終追いはWコースでユキノヴェルデ(2歳未勝利)と併せ馬。メンコを外した7歳馬は内に秘めた闘志を解き放ち、眼光鋭く駆け出した。先行した僚馬を5馬身追走。4コーナー手前で2馬身差に詰めると、J・G1を含む障害重賞9連勝の相方・石神のGOサインに反応。重心をグッと下げると内から馬体を並べて併入。ラストは強めに追われて5F67秒4〜1F12秒6でまとめた。石神は「動きも良く不安なところは何もない」と好感触。4馬身突き放した1週前と比べると派手さはないが、引き締まった馬体が物語る究極仕上げだ。

( 14年0票から10万票/) ファン投票10万382票を集め、堂々3位で選出されたオジュウ。しかし、3歳時の14年は「0票」だったことが新たに判明した。無理もない。ソチ冬季五輪が行われた同年は11月福島で障害未勝利戦を1戦だけ走り、最下位14着。当の長山尚義オーナーでさえも投票を思慮!?するほどの駄目っぷりだった。福原愛ちゃんのごとく、流した涙は数知れず。原田雅彦氏ばりに跳んで跳びまくった。そして2年後の16年中山グランドジャンプでJ・GI初制覇。今春同レース3連覇を飾ると、夢だけを追い求め、平地再転向。2連勝を飾り、悲願だったグランプリの扉をこじ開けた。

( さあ常識の壁越える/) テレビ各局も美浦を駆け回ったオジュウ狂騒曲。来年1月19日に放映予定の特番「崖っぷち競走馬が起こした奇跡〜オジュウチョウサンの挑戦〜」(BS1)のNHKスタッフも密着取材していた。「11月20日以降、半分近くは美浦に来ている。週末まで美浦に残り、中山に向かう予定です」(制作関係者)と細心の報道態勢を敷いている。

 まさに「0」から始まったオジュウの誇り高き挑戦。最終追いを見届けた和田正師は、カメラの放列を前に言葉をかみしめた。「普通に見ると厳しい戦いになるが、振り返ってみると、我々の想像を超えるような底力を発揮してきた。日曜日に“アッ”と驚く結果が出ないとは限らない。目を離さず注目して見ていただければ」。数値やタイムでは計れない未知のパワーが秘められている。想像のさらに上を“ジャンプ”してきたオジュウに競馬の常識は通用しない。

続きを表示

2018年12月20日のニュース