【有馬記念】レイデオロ、ポルシェの持久力!最高級の切れ味

[ 2018年12月20日 05:30 ]

3頭併せで追い切るレイデオロ(左端)(撮影・郡司 修)
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 GP舞台を先頭で駆け抜けるのは赤茶色のポルシェ4WDだ!有馬記念ファン投票1位で選出されたレイデオロは19日、美浦トレセンで実戦さながらの追い切りを敢行。ドイツの最高級SUV車並みのエンジンパワーを披露した。有馬3勝の藤沢和雄調教師、同2勝の主戦ルメールとも、暮れの大一番へ揺るぎない手応えをつかんだ。

 スポーティーな走行性能と持久性能を兼備した赤茶色のボディー。胸前の筋繊維は浮き立ち、後肢が岩のようにせり上がっている。そんなエネルギッシュな鹿毛の乗り味をルメールはドイツの最高級SUV車になぞらえた。「レイデオロはポルシェ・カイエンの4WDです。搭載しているのは長い距離をどこまでも伸び続ける大きなエンジン。この前、福永さん(騎手)に乗せてもらったランドローバーもいい脚を持っていたけど、よりスポーティーなポルシェの感覚です」

 今年、ルメールは2頭のスペシャルホースでG1舞台を席巻してきた。イタリアの高級スポーツカーに例えたのが3冠牝馬アーモンドアイ。JCの最終追い切りで「アクセルを踏むと瞬時にトップスピードに入るフェラーリの加速力」と絶賛し“4冠”制覇を達成した。「レイデオロは加速するのに時間がかかるけど、持久力が凄いです」

 最高級ドイツ車のエンジンがウッドチップの上で噴き上げた。藤沢和流の3頭縦列調教。その2番手を追走し、3、4角でドラゴンストームにかわされると、ハミをかみしめた。馬上で我慢させるルメール。いったんは3番手に後退したが、直線に入るとすさまじいストライドを繰り出した。インから馬なりのまま併入。「調教が単調になりがちだから、わざと後ろの馬に抜かせてテンションを上げてみた」と語る藤沢和師。その傍らではルメールが「レースのシミュレーション。いい練習になった」と満足顔を浮かべて、こう続けた。「今までで一番良かった。秋の天皇賞よりパワーアップしてます」

 舞台となる中山2500メートルはコーナーを6回ターンするトリッキーなレイアウト。有馬記念で3勝を挙げた師は「難しいコース。スタートの形態(向正面発走後すぐに3コーナー)を考えると、好位にいなければつらい。コーナーが大きいので後ろからでは追いつかない」と言う。だが、好位を取れば、出入りの激しい流れを克服しなければならない。3角で後ろから抜かされる形の最終追いは、先行策を想定したリハーサルだった。「ハーツクライ(05年)もサトノダイヤモンド(16年)も好位を取って長い末脚を使った。有馬は3角でペースが上がるから長い末脚とスタミナが必要なんだ。ポルシェ・カイエンのビッグエンジンを持つ彼みたいに…」。有馬2勝のルメールは、スペイン語で黄金の王(レイデオロ)と名付けられた相棒を頼もしげに見つめる。その視線の先では赤茶のボディーが朝日を浴びて黄金色に輝いていた。

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2018年12月20日のニュース