【有馬記念】「スーパーカー」障害の第一人者絶賛の心肺機能

[ 2018年12月20日 05:30 ]

オジュウチョウサン 半端ない挑戦(4)

追い切りを終え南馬場から出るオジュウチョウサン(撮影・郡司 修)
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 「障害効果で馬が覚醒する」。昔から競馬界に伝わる話だ。象徴はメジロパーマー。障害を2戦使い、平地に戻ったところ宝塚記念、有馬記念を逃げ切る大出世を果たした。障害を跳ぶことで前向きさが出て、実戦での好走につながると一般的には言われる。

 オジュウチョウサンの平地2連勝も“前向きさ効果”なのか。元障害騎手の第一人者で、今も厩舎に障害馬を抱える田中剛師はこんな持論を展開した。「元々、搭載するエンジンがスーパーカー並みなんですよ」

 デビュー2戦を11、8着で平地にいったんは見切りをつけられたオジュウ。「当時は未完成な状態。晩成型で心肺機能に体がついてこなかった。平場が駄目というわけではなかったんだと思う」。そこから体が成長し潜在能力とかみ合い始めた。「車でいえばサスペンションが完成され、エンジンに見合ってきた状態ですね」

 障害効果も確かにあったと分析する。「昔から障害に転向させれば馬の集中力が増すという効果はあった。集中力はコンピューター。エンジン、サスペンション、コンピューターがそろった状態」。ついにスーパーカーは完成した。「平場の1000万でエンジン、スピードがある馬が大障害で勝負になるということはある。だけど、逆は本当にないですからね」。師のオジュウチョウサンに対する評価は驚くほど高い。

 有馬記念でどんな結果が待っているのか。オジュウを興味深く観察してきた師にも分からない。「自分は騎手時代、平地も障害も乗っていたけど、有馬記念でどういう結果が出るかは本当に分からない。難しいです。ただ、調教師としてはああいう馬を扱ってみたいし、また乗ってみたい。それは凄い乗り心地なんだろうな…。当日は一ファンとして走りを見守りたいですね」。騎手魂も調教師魂もうずく。オジュウチョウサンの魅力はトレセン関係者をも、とりこにさせる。 

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2018年12月20日のニュース