【福島新馬戦】被災地の子カツラオー 地元・福島でデビュー

[ 2013年11月1日 06:00 ]

デビューを控えるカツラオー

 11年3月11日の東日本大震災から2年8カ月。福島第1原発事故の影響で今も全村避難を余儀なくされている福島県葛尾(かつらお)村の牧場で生産された2歳馬カツラオー(牡=菅原、父スクリーンヒーロー)が今週“地元”福島でデビューを迎える。

 震災直後。葛尾村の篠木牧場でお産を控えた母馬(ヒヤマクインダム)を抱えた篠木要吉社長(58)は困り果てていた。

 「お産を終えてから避難をしようと思っていたが、放射性物質の被害が深刻になってきて…。かつて母馬を管理した菅原師に真っ先に相談しました」

 その菅原師の紹介で3月下旬に茨城県阿見町の内藤牧場に母馬を移動。翌月23日に栗毛の牡馬が無事誕生、その子は村の思いを込めカツラオーと命名された。

 母馬を引き受けた内藤牧場の内藤好江さん(62)は「困った時はお互いさま。でも、生まれてすぐに黄疸(おうだん)が出て…。母乳が飲めないからスタッフが3時間おきにミルクを与えたんです。大病を何とか乗り越え、デビューの時を無事に迎えられて、本当に良かった」と声を弾ませた。

 デビューへ向け美浦トレセンにやってきたのは今年9月12日、菅原厩舎に入厩した。担当の池島厩務員は「馬房では甘えてきたり、大人しい馬。とにかく無事に走って帰ってきてほしい」と話した。菅原師は「みんなで、よくここまで夢をつないでくれた」と感慨深げに振り返った。

 篠木社長は今も福島県郡山市で避難生活を送っている。「競走馬の生産はもう諦めた。内藤牧場さんにお世話になって…本当にありがたい」と感謝の言葉を繰り返した。

 「人と人とのつながりを感じながら当日を迎えたい」――篠木社長は特別な思いを胸に、現地で愛馬の雄姿を見届けるつもりだ。

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