365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1987年6月】Get Wild/追い込まれたTM NETWORK 起死回生のヒット

[ 2011年6月11日 06:00 ]

80年代後半、独自のスタイルで一世を風びしたTM NETWORK(左から小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登)
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 ★87年6月ランキング★
1 Blonde/中森明菜
2 ろくなもんじゃねえ/長渕剛
3 大きなお世話サマー/とんねるず
4 サマードリーム/TUBE
5 Get Wild/TM NETWORK
6 水の中のAnswer/杉山清貴
7 瞳にSTORM/浅香
8 I Don’t Know!/BaBe
9 Strangers Dream/ジャッキー・リン&パラビオン
10 かたつむりサンバ/おニャン子クラブ
注目新宿純愛物語・哀しみ無宿/仲村トオル・一条寺美奈
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【Get Wild/TM NETWORK】

 崖っぷちからのヒット曲だった。結成から3年。3人組の音楽ユニット「TM NETWORK」の10枚目のシングルにして、はじめてベストテン番組にランクインした記念すべき代表曲である。

 日本テレビ系アニメ「シティー・ハンター」のエンディングテーマ曲。タイアップがヒットの導火線となったことは確かだったが、バンドの中枢を担った小室哲哉によるシンセサイザーを中心とした、いわゆる「打ち込み」と呼ばれるサウンドの心地よさが聴き手に与えた快感は見逃せない。

 大型でしかも大量の機材を持ち込んでのステージは話題を呼び、軽快なメロディーとは対照的な宇都宮隆のそれこそワイルドな歌声も魅力だった。オリコンチャートでは最高9位止まりだったが、ラジオのベストテン番組ではベスト3に入り、電話リクエストも中高生を中心に集まった。

 発売前年の86年、コンサートツアー中に宇都宮が得意のダンスを披露していた際、ステージで捻挫。ファンの前できちんと公演ができるかどうかという状況に陥った。バンドとしてはヒット曲もなく、雰囲気は最悪。そんな時に舞い込んだのが「シティー…」の話だった。

 小室はこれに全力投球し、もし売れなかったら解散まで考えていたという。魂のこもった作品は、初のヒット曲なり、そのはずみで7月に発売したベストアルバム「Gift for Fanks」はオリコンで初の1位に。後にリリースすれば1位という、一時代を作り上げた小室にとって、忘れられない初めてトップ立った瞬間だった。

 「Get…」が売れたことにより、知名度が飛躍的に上がったTMは、1000人いるかいないかの人数だったファンクラブ会員が、翌87年のNHK「紅白歌合戦」初出場が決まった後、4万人に。ユニット名「TM」の由来となった東京・多摩(TaMa)地区に住んでいたメンバーは、日本を代表するバンドになり、94年4月21日の解散まで走り続けた。

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