365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1977年6月】あずさ2号/あくなき挑戦者であれ!狩人 新人賞レースに殴り込み

[ 2011年6月22日 06:00 ]

デビュー曲から大ヒットを飛ばした狩人の兄・加藤邦彦(左)と弟・高道
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 ★77年6月ランキング★
1 勝手にしやがれ/沢田研二
2 渚のシンドバッド/ピンク・レディー
3 雨やどり/さだまさし
4 星の砂/小柳ルミ子
5 あずさ2号/狩人
6 気まぐれヴィーナス/桜田淳子
7 サクセス・愛しのティナ/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
8 能登半島/石川さゆり
9 夢先案内人/山口百恵
10 硝子坂/高田みづえ
注目セクシーロックンローラー/西城秀樹
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【あずさ2号/狩人】

 午前8時の新宿駅発の特急列車で信濃路へ傷心旅行に出かける人が急増。ちょっとしたブームになったのは、兄弟デュオのヒット曲の影響にほかならなかった。

 愛知県から高校を中退して出てきた兄・加藤邦彦(現・久仁彦)とそれを追うように中学卒業後に東京を目指した弟・加藤高道は「狩人」という名で77年3月にデビュー。ファーストシングルからブレークし、レコード売り上60万枚を記録。「失恋レストラン」の清水健太郎、「硝子坂」の高田みづえが有力とされていた新人賞レースに殴り込みをかけ、年末の紅白歌合戦には初出場を成し遂げた。

 兄が稼ぐ食道の皿洗いと喫茶店のウェイターのバイト代をたのみに、2人で1人分の月謝で歌謡教室に通いながら受けたワーナーパイオニアのオーディション。課題曲を即席でハモってみせ注目を集めた。

 作曲家の都倉俊一がプロデュース。弟が主旋律を歌い、それに合わせて兄がハモる。静かな導入部から「さよならは いつまでたっても…」の部分で盛り上がりを見せ、サビの部分でインパクトのある「8時ちょうどのあずさ2号で…」と一気に歌い上げる。新人ながら歌唱力は高評価をされ、一度聴いたら忘れないインパクトの強い曲は一気にヒットチャート上位に食い込んだ。

 都倉が「あくなき挑戦者、ヒット曲を狙い続ける存在であれ」との祈りを込めて名付けられた「狩人」のネーミング通り、セカンドシングルの「コスモス街道」もヒット、3曲目の「若き旅人」も番組が始まったばかりのTBS「ザ・ベストテン」でランクインするなど、ヒット曲を連発した。

 しかし、78年10月に国鉄のダイヤ改正で8時ちょうどの「あずさ2号」が走らなくなるのと時期を同じくして人気も下降線に。95年にもう一度「あずさ2号」のリバイバル盤を出したり、時折話題には上ったが、デビュー時の爆発力はなく、07年末をもってコンビは解散した。

 高道はソロ歌手のかたわら歌手の人材派遣業などを手掛け、兄は11年からかつての「森田公一とトップギャラン」のメンバーととともに新グループ「加藤久仁彦&トップギャラン」を結成した。

 サイモン&ガーファンクルに憧れ、歌手を目指した2人だが、家庭の借金苦という側面もあった。仲が悪いと伝えられた兄弟だが、けんか別れしょうにもできない背景があったのである。

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