365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1984年6月】君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/中原めいこの本領発揮

[ 2011年6月4日 06:00 ]

84年6月のヒット曲「君たちキウイ・ハパイア・マンゴーだね。」
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 ★84年6月ランキング★
1 メイン・テーマ/薬師丸ひろ子
2 ケジメなさい/近藤真彦
3 哀しくてジェラシー/チェッカーズ
4 時間の国のアリス/松田聖子
5 騎士道/田原俊彦
6 ふたりの愛ランド/石川優子とチャゲ
7 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/中原めいこ
8 サヨナラは8月のララバイ/吉川晃司
9 コントロール/河合奈保子
10 STARSHIP/アルフィー
注目雨音はショパンの調べ/小林麻美
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/中原めいこ】

 ラテン系のダンサンブルなナンバーは、スバリ夏をイメージさせるものだったが、レコーディングは真冬の2月。しかも東京に雪が舞った日だった。雰囲気を出すためにスタジオの暖房器具は全開、Tシャツ姿で汗だくになりながら収録した。

 コミックソングを連想させるようなタイトルは、カネボウの夏の化粧品キャンペーンのテーマソングとして発注され、広告代理店が指定したもの。“縛り”のある中で中原めいこは曲作りをすることになった。もっとも「リゾート感覚で曲を作った。暗くて地味なのはもともと性に合わない」と、得意のトロピカル調の曲に仕上がった。

 キウイにハパイアそれにマンゴー…。南国のフルーツの名前を羅列したのにはそれなりに意味があった。中原いわく「太陽の日差しを浴びて色とりどりに輝く女性をイメージしたもの」で、CM効果と奇抜なタイトル、ノリのいいサウンドがミックスして27万枚のレコード売り上げを記録。TBS「ザ・ベストテン」でも6位まで上昇した。

 子供の頃から歌手になることを夢見て、15歳でフジテレビの「君こそスターだ!」に挑戦。合格点に3点足りなかったことから、作曲家の鈴木邦彦のポップス・スクールでみっちり勉強を始め、17歳のころには郷ひろみのコンサートでバックコーラスを務め経験を積んだ。

 声がつぶれてハスキーになり、コーラスを断念し、22歳で歌手デビュー。所属レコード会社の東芝EMIは大きな期待をかけ「第二のユーミン」というキャッチフレーズを付けたが、中原の本音は「かなり抵抗があった。自分はじぶんでしかない音楽をやっていると思っている」。

 「声が松田聖子に似ている」「よく中村メイコさんと名前を間違えられる」と売れっ子になった中原は話していたが、比較的マイペースでやってきた流れから、ヒット曲を放ったことで生活は一変。スケジュールに追われ、体調も崩し、点滴を受けながら仕事をする毎日。精神的にも追い込まれ「自分の時間が持てずかなり息苦しかった」と回想している。

 88年にニューヨークに渡り、一時活動を休止。その後復帰したが、現在は歌手としては一線を退いた。

 82年に同じく夏のキャンペーンソングに起用した山下久美子同様、中原も当時は“学園祭の女王”の称号を得ていた。カネボウの販売戦略が10代後半から20代前半の女性を中心にした層をターゲットにしていたことは明らかで、しかも世間一般にはそれほど知名度がない女性シンガーを使うことで話題性を計算。テレビCMが大きな影響力を持っていた時代だった。

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