365日 あの頃ヒット曲ランキング 6月

【1995年6月】TOMORROW/ミリオンヒットも“元気で明るい”に困惑した岡本真夜

[ 2011年6月2日 06:00 ]

デビュー曲でいきなり177万枚を売り上げた岡本真夜
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 ★95年6月ランキング★
1 ねがい/B’z
2 TOMORROW/岡本真夜
3 【es】~Theme of es~/Mr.Children
4 愛が見えない/ZARD
5 KNOCKIN’ON YOUR DOOR/L⇔R
6 旅人のうた/中島みゆき
7 ロビンソン/スピッツ
8 君がいたから/FIELD OF VIEW
9 碧いうさぎ/酒井法子
10 ズルい女/シャ乱Q
注目マンピーのG★SPOT/サザンオールスターズ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【TOMORROW/岡本真夜】

 初めてテレビ番組で歌ったのがNHK「紅白歌合戦」というから驚きだ。

 高知出身の新人歌手、岡本真夜のデビュー曲「TOMORROW」は、発売から7カ月以上も“ナマ歌”が聞くことができなかった。ジャケットも鼻から下の写真で顔が分からない。雑誌や新聞の取材を受けても事務所が用意した“アー写”(アーティストの宣伝用の写真)のみしか使用できなかった。

 「別に狙っていたわけではなく、ただ曲勝負でいきたかったから」と岡本。「どんな女性が歌っているんだろう?」という逆の意味でのイメージ戦略が結果的に当たり、177万枚のCDシングルを売り上げた。

 TBSドラマ「セカンド・チャンス」の主題歌として発売したが、ドラマ用に作ったわけではなかった。高校時代に一番仲の良い友達を勇気付けるために作った歌だった。「どう励ましていいかわからず、歌にしてテープに吹き込んで贈った」。

 「涙の数だけ強くなれるよ…」で始まる歌詞は、春のセンバツ高校野球の入場行進曲になるなど、人生の応援ソングとして発売から長い時間が経過しても支持され続けているが、岡本自身が好きなのは「切ないバラード」。デビュー曲の強烈なインパクトからしばらく、明るく元気になれるような曲の発注が相次いだという。

 「TOMORROWの岡本真夜」という肩書き付きの時代が少しの間続いた時は「正直苦しかった。作った曲に自信が持てなくなった時期もあった」。サードシングルの「Alone」で歌いたかったものを表現できた時は「本当に嬉しかった」と振り返っている。

 元々はクラッシックしか聴かず、将来の夢もピアニスト。高校1年の時にラジオから流れたドリームズ・カム・トゥルーの「未来予想図II」が人生を変えた。「聴いた瞬間、鳥肌が立つほどの衝撃を受けた」。歌うことに目覚めた瞬間だった。

 2010年に上海万博のイメージソング盗作騒動で、別の意味で脚光を浴びてしまった。被害者であるはずの岡本だが、その穏やかで春風のような雰囲気はデビューから変わらぬまま。「聴く人が前向きになったり、優しい気持ちになるような曲を作りたい」というスタンスも不変。移り行く時代の中でも、ファンが離れない理由がそこにある。

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