藤井王将、最強の弓使い・源為朝に扮した 年間最高勝率.855更新見えた、中原16世名人超え射抜く

[ 2024年1月23日 04:45 ]

<第73期ALSOK杯王将戦第2局・一夜明け>鎮西八郎に扮し、笑顔で矢を射る藤井王将(撮影・大城 有生希、藤山 由理、西尾 大助、光山貴大)
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 藤井聡太王将(21)が菅井竜也八段(31)に連勝した第73期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の第2局から一夜明けた22日、佐賀県上峰町で本紙恒例の勝者の記念撮影に臨んだ。当地ゆかりの平安末期の武将・源為朝に扮して「うなぎ」と記された的を射るポーズをつくった。今年度成績を38勝6敗、勝率.864とし、視界に入ってきた歴代最高勝率.855の更新へ無心で臨むことを強調した。

 対局前のように表情が引き締まった。宿泊先のホテルを出て、撮影現場へ向かった藤井に立ちはだかったのが「うなぎ」の文字が躍る的だった。

 烏帽子(えぼし)をかぶり、10キロある源氏のよろいを羽織った。そして手にしたのが弓。的となるうなぎとは昨年3月、羽生善治九段(53)を4勝2敗で退け、初防衛した前期第6局の翌日、勝者の記念撮影で対面した漆黒の軟体。羽生、佐藤康光九段、久保利明九段の歴代王将も苦戦したウナギつかみに挑戦し「撮影に30分くらいかかった」。実際は7~8分だったが、その実感が耐え難かった時間の長さを物語る。

 今回の撮影は、上峰町にある鎮西山を拠点に平安末期、15歳で九州を平定したという源為朝に扮して名産の養殖ウナギを射るというもの。周囲を驚かせたのが「為朝は弓が強かったと聞きました」との独白だった。将棋にも通じる予習復習の確かさが垣間見えた。

 「弓を引くのが結構硬くて腕がプルプルしました。為朝もあんな弓を引いたのかもしれませんね」

 藤井王を守護した金銀4枚による穴熊「ビッグ4」がそのまま残る快勝から一夜明け。改めて第2局を振り返り、「封じ手あたりでつかめたペースをどう形勢の良さにつなげるかが問われた。昼食休憩後、と金(81手目[先]4一歩成)をつくって指しやすくなりました」。

 今年度成績を38勝6敗、勝率.864としたことで、中原誠16世名人が五段だった67年度に樹立した47勝8敗の歴代最高.855の更新が見えてきた。

 王将戦など2タイトル戦、2棋戦を残す今年度、9勝2敗で終えればちょうどその47勝8敗。1勝でも上積みし、10勝2敗なら記録更新する。

 「年度末まで残り2、3局くらいになって意識したら負けたことがある。あと1、2局になれば意識するかもしれません」

 たどった記憶の通り、45勝8敗で終えた18年度、3月11日に喫した1敗がもし勝ちだったら46勝7敗、.868で更新できた。無心を貫く本人をよそに、その動向にも注目は集まりそうだ。


 ≪現在.864、3月末まで2敗以内なら≫ 藤井は年度末までに王将戦、棋王戦、朝日杯、NHK杯の対局を残す。中原超えをかなえるには3月末までを2敗以内に抑えることが目安となり、例えば王将戦を4勝1敗、棋王戦を3勝1敗、さらに朝日杯、NHK杯は優勝のような成績が求められる。

 中原の歴代最高勝率に並ぶ残り9勝2敗は、勝率.818で今年度のここまでを下回る。とはいえ、本来は極めて高いハードル。藤井の心掛ける無心は、妥当な記録との向き合い方といえるだろう。

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