唯一無二のボーカリスト逝く チバユウスケさん、55歳で力尽く…ロック界に偉大な足跡、4月食道がん公表

[ 2023年12月6日 05:30 ]

The Birthdayのチバユウスケさんアーティスト写真 (写真:新保勇樹)
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 ロックバンド「ミッシェル・ガン・エレファント」として活躍した、「The Birthday」のボーカル、ギターのチバユウスケさんが11月26日に死去した。55歳。神奈川県出身。葬儀は近親者で執り行った。後日、お別れの会を開く予定。今年4月に食道がんを患っていることを公表し、療養していた。

 早すぎる悲報はThe Birthdayの公式サイトで伝えられた。家族に見守られて息を引き取ったとし「たくさんの心強く温かい励ましのお言葉をいただき、静かに見守っていただいたことに感謝いたします」とつづられた。

 最後のステージは3月15日、東京・恵比寿のライブハウス「リキッドルーム」でのイベント。激しく歌う姿は健在だった。レコード会社関係者は「ビールも酒もよく飲み、ヘビースモーカー。周囲の誰からも愛される色気のある男だった」と悲しみにくれた。闘病中も関係者と連絡を取り合い、復帰後の活動について前向きに考えていた。周囲には「絶対に復帰する」と力強い言葉を伝えていた。

 色気たっぷりのしわがれた声を持つ唯一無二のボーカリストだった。ミッシェル…はガレージロックをベースとしたバンドで、メンバーは常に黒の細身スーツ。96年にデビューし「ゲット・アップ・ルーシー」「G.W.D」「アウト・ブルーズ」などをヒットさせた。大型フェスのヘッドライナーを務め、海外ツアーも行った。

 語り草となっているのは03年6月に出演したテレビ朝日「ミュージックステーション」。この日はロシアの女性デュオ「t.A.T.u.(タトゥー)」が出番前にドタキャン。急きょ時間が空いたため、出番を終えていたミッシェルが再登板した。ぶっつけで「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」を披露。完璧なステージに司会のタモリ(78)もノリノリだった。

 ミッシェルは人気絶頂の03年に突然の解散。その後もバンドを続け、ROSSO、The Birthdayで活動した。昨年12月公開のアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」のオープニング主題歌「LOVE ROCKETS」を担当。アニメの大ファンとして知られる、大リーグの大谷翔平投手が今年のオープン戦の登場曲に使ったこともあった。新たなファンを獲得していただけに、悔やまれる死となった。

 ◆チバユウスケ 1968年(昭43)7月10日生まれ、神奈川県出身。明治学院大のサークルでミッシェル…を結成。96年にシングル「世界の終わり」でメジャーデビュー。2000年のフジロックフェスティバルでメインステージのトリを務めた。最大のヒットは97年のアルバム「Chicken Zombies」で24万5000枚(オリコン調べ)。大のビール党で一日1ダース(12缶)を飲んでいた時期があった。

 《多くの芸能人患う》芸能人が食道がんを患う例は多く、最近では歌手の大橋純子さんが同がんのため11月に亡くなった。ほかに、落語家の立川談志さん(享年75)や、歌手でタレントのやしきたかじんさん(享年64)、作家のなかにし礼さん(享年82)、サザンオールスターズの桑田佳祐(67)、指揮者の小澤征爾さん(88)らも患った。食道は上から「頸部(けいぶ)」「胸部」「腹部」と分かれており、日本人の食道がんは約90%が「胸部食道がん」。食道がんは女性より男性に多いとされ、主な要因は飲酒や喫煙。年代では60~70代が多い。早期では自覚症状がない人も多く、早期発見が難しいと言われる。

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